「なんか駆け足」「打ち切り?」終盤に賛否両論・ジャンプマンガ3選
マンガ作品のストーリー展開は、「誰もが納得」というものばかりではなく、読者から「賛否」の声があった作品も存在します。今回は、「週刊少年ジャンプ」掲載作品から、特に「後半」のシナリオにさまざまな声が巻き起こったマンガをみていきましょう。
前半がピーク? 天才VS天才の末路
マンガのストーリー展開は、作品の良し悪しを決める大切な要素です。特に、出だしで読者の心をがっちりつかんだ作品ほど、物語が終盤に向けて、読者の期待感は増していきます。なかには残念ながら、終盤の展開に「賛否」の議論が起こってしまった作品もあります。今回は集英社「週刊少年ジャンプ」掲載作品から、後半のストーリー展開にさまざまな意見があがったマンガをみていきましょう。
※この記事では、『DEATH NOTE』『幽☆遊☆白書』『Dr.STONE』の物語の核心に触れる描写があります。
●『DEATH NOTE』
2003年から2006年まで連載された『DEATH NOTE(デスノート)』(原作:大場つぐみ、作画:小畑健)は、TVアニメ化され、映画、TVドラマで実写化もされた人気作です。
物語は、天才学生の夜神月(やがみ らいと)が「このノートに名前が書かれた者は死ぬ」と書かれた「デスノート」を拾い、犯罪者が横行する世界を変えるために、世の中の犯罪者を次々と殺していくというものです。月は、人びとから「キラ」と呼ばれ、殺人を犯しながらも救世主として讃えられる存在にもなっていきます。
本作の序盤は、キラと名探偵の「L」との直接対決が描かれました。Lはキラの正体を月だと推理し、さまざまな策で彼を追い込んでいきます。しかし、天才ふたりの頭脳戦は、最終的に月がLを殺すことで終結します。その後、月はLの後継者である「メロ」、「ニア」と頭脳戦を繰り広げることになります。
本作は当初、月とLという、立場も考え方も正反対だったキャラを「W主人公」のように描いていました。そのため、Lが死んだ後のストーリー展開に物足りなさを感じてしまった読者が多かったようです。ネット上でも、「Lが死ぬまでがピークという感じ」「Lが死ぬのは望んでなかった」などといった声が見受けられました。
一方で、ニアとメロのファンも多く、「最後に月を追い詰めるシーンはLと重なって、さすが後継者と感じた」「ニアだけでなくメロも頭がきれて終盤の緊張感はやばかった」と後半の展開に肯定的な意見も少なくありません。
●『幽☆遊☆白書』
『幽☆遊☆白書』は、1990年から1994年まで連載された作品で、『HUNTER×HUNTER(ハンターハンター)』などで有名な冨樫義博先生が描いています。Netflixで実写ドラマ化されるなど、近年もたびたび話題にのぼる人気マンガです。
交通事故により命を落とした主人公の「浦飯幽助」は、「霊界探偵」になり、魔界にいる妖怪とバトルを繰り広げていきます。物語の終盤、魔界三大妖怪でトップクラスの強さを誇る「雷禅(らいぜん)」が幽助の妖怪遺伝子上の父親ということが発覚します。人を食べることをエネルギーにしていた雷禅は、愛する女性のために人を食べなくなり、餓死してしまいました。
雷禅の死後、幽助は魔界の均衡を正常に保つため、「魔界統一トーナメント」という大会の開催を提案します。
この大会で、さまざまな妖怪たちの激しいバトルが繰り広げられることが期待されましたが、残念ながら、中途半端な形で終わりを迎えます。なぜなら、幽助と魔界三大妖怪の「黄泉」のバトル開始直後、物語の時間軸が急に進み、大会の結末を幽助が語り出すという驚きの展開をみせたからです。
その後、作品自体が連載終了となったため、本作は「打ち切り説」などの憶測が飛ぶようになりました。冨樫先生はのちに、連載終了の理由について、少ない睡眠時間でマンガを描く過酷な環境で心身に不調をきたしたと明言し、「打ち切り説」を否定しています。
ファンからは「最後までバトルを描いて欲しかった」と残念に思う声がある一方で、冨樫先生の体調面を気遣い「これはこれで良かった」という意見も見受けられました。