「人間が蜂の巣に」「R指定じゃないんかい」 子供も観られるトラウマ級アニメ映画
流血表現や人体破損など、過激な描写が多く含まれているのにもかかわらず、なぜか年齢制限はそこまで厳しくない……。そのような観たらびっくりのアニメ映画は、意外と多く存在します。「R指定じゃないから」と甘く見ていると、痛い目を見てしまうかもしれません。
ホントにR指定じゃなくて大丈夫?
毎年、映画界では映倫の区分で「PG12」指定のアニメーション作品が数多く生み出されています。鑑賞が制限される「R指定」と違って、「PG12」の作品は「小学生は保護者の助言や指導が必要」という但し書きはありつつ子供でも視聴することができますが、なかには全く万人向けではないトラウマ級の作品も存在します。視聴の際は注意した方がいいかもしれません。
2016年に公開された『GANTZ:O』は、その代表例ともいえるでしょう。同作は死んだはずの人間と異星人の死闘を描いた奥浩哉先生のマンガが原作で、作中屈指の人気エピソード「大阪編」をフル3DCGで映像化した作品です。原作マンガ自体が過激な性描写や人体破壊描写の相次ぐ作品ではあるものの、映画版も負けじと衝撃的な描写が出てきました。
映画本編では、「妖怪」の姿をした「星人」がはびこる大阪を舞台に、人間vs妖怪の壮絶な戦いが繰り広げられていきました。ある者は妖怪に踏み潰され、またある者は首だけになってしまうほか、妖怪サイドも身体を真っぷたつにされたり、木っ端微塵にされたりと、流血表現、破損描写が満載です。
おまけにフル3DCGによって再現された妖怪たちのビジュアルはかなり不気味で、特に同作のラスボスである「ぬらりひょん」の第2形態は衝撃的でした。目玉などの部位から全裸の女性たちがぬるぬると出てきて、やがておどろおどろしい女型形態に姿を変えるのです。ネット上では「第2形態になる時の演出が妙にリアルでうわってなった」「大阪篇のせいでぬらりひょんは完全にトラウマ」「マンガの描写からの気色悪い解釈(誉め言葉)が見事」といった声が上がっていました。
翌2017年に公開された劇場用アニメ作品『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』も、ハードなシーンのオンパレードです。同作は最強の剣士こと石川五ェ門の若き日を描く内容で、『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』の小池健監督が手掛ける「LUPIN THE IIIRD」シリーズ第2弾にあたります。
こちらも「PG12」指定で子供が観ても大丈夫な作品のはずですが、戦闘描写は「本当にR指定じゃなくて大丈夫?」と心配になるほどハードな印象です。戦いの中で肉がえぐれる、腕が吹っ飛ぶ……などの描写があり、斬られた肉の断面もしっかりと描かれています。他の『ルパン三世』シリーズのイメージで視聴すると、少々ショッキングに映るでしょう。
脚本の高橋悠也さんが2016年開催のイベントで語ったところによると、『次元大介の墓標』以上にエッジが効いたものをやりたいという思いから『血煙の石川五ェ門』は「R18指定みたいな作品」を目指して書いたそうです。
少し懐かしい作品では、2000年に公開された『人狼 JIN-ROH』も衝撃的な描写が相次ぎます。同作は原作&脚本の押井守さんをはじめとする、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』のスタッフ陣によって制作されたSFアクションで、架空の戦後史を舞台に、警察特殊部隊のエリート隊員とゲリラ組織の少女との悲恋が描かれました。
本作も鑑賞区分は「PG-12」ですが、その内容はかなり大人向けです。物語冒頭から激しい反政府運動が展開され、やがて過激派を鎮圧しようと治安部隊が出動し、一斉射撃を行う展開となります。先ほどまで動いて喋っていた人びとが一瞬にして蜂の巣となる場面は、誰もが衝撃を受けたのではないでしょうか。
また業界随一のスタッフが揃ったことから作画のクオリティも高く、ネット上では「描写が結構エグいけど、それ以上に作画が凄すぎる」「機関銃によって人間が肉塊に変わる様子をこれほど丁寧に描写したアニメはほかに存在しないと思う」などの声があがっていました。
いずれの作品も人によってトラウマになる可能性はありますが、それ以上に物語としての完成度は高く、一見する価値は十分です。気になる人はぜひ勇気を出して、この機会に視聴してみてはいかがでしょうか。
(ハララ書房)