「ゴジラ」と「自衛隊」は親密な関係? やられ続けた60年、そこには戦略と成長も
1954年の公開から、根強いファンを持つ「ゴジラ」シリーズの第1作から登場し続け、「やられ役」としてのイメージの強い自衛隊ですが、実はやられてばかりではありませんでした。「自衛隊」を通してゴジラを観ると、いっそう作品を楽しむことができるのです。
1954年、発足とほぼ同時に初協力。ゴジラとの関係始まる
「ゴジラ」シリーズは、言わずと知れた怪獣映画の大名作で、1954年に第1作が公開されてから、東宝版、アニメ版、ハリウッド版をあわせて36作が上映されています。これらの作品は同じ「ゴジラ」をテーマにしているものの、いくつかの作品を除き、ストーリーや世界観に連続性がないことが特徴です。
ゴジラはあるときは「悪の権化」であり、またある時は「人間の味方」であり、登場人物や世界設定も作品ごとに大きく異なります。そんななか、ある意味レギュラーのように毎回登場し、「やられ役」を演じているのが「自衛隊」です。東宝版の多くの作品において、自衛隊は全面的あるいは一部で協力し、数多くの「装備品」を破壊されているのです。ある意味、マイナスイメージにもなりかねない出演の数々ですが、自衛隊はなぜ映画に協力しているのでしょうか。
それは自衛隊が「まずは広く知ってもらう」ことを広報の基本としているからです。『ゴジラ』第1作の公開は1954(昭和29)年11月3日。自衛隊の発足は同年の7月1日です。つまり、製作側から協力依頼を受けた時、自衛隊は発足の前後でバタバタした時期にあったはずです。しかしそれでも、アメリカ軍から供与されたばかりの戦車やトラックの走る姿を映し、自衛隊の存在をアピールしました。
『ゴジラ』第1作は、観客動員数900万人を超える大ヒットを記録。ネットはおろかテレビの普及もまだまだの時代、これだけの人に一瞬とはいえ、自衛隊の車両を見せることができた広告効果は大きかったのではないでしょうか。以後、自衛隊は、大なり小なりゴジラと手を組んでいくことになります。