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「ゴジラ」と「自衛隊」は親密な関係? やられ続けた60年、そこには戦略と成長も

60年以上ゴジラと歩み続け、「やられ役」から脱却へ

2016年公開、劇中での「自衛隊」の活躍も注目集めた『シン・ゴジラ』 (C)2016 TOHO CO. LTD.
2016年公開、劇中での「自衛隊」の活躍も注目集めた『シン・ゴジラ』 (C)2016 TOHO CO. LTD.

 しかし、現在「昭和シリーズ」などと呼ばれている第15作頃までは、自衛隊の協力も少し薄めです。これは、ゴジラ第1作が「反戦・反核」を強く訴える大人向けの作品だったのに対し、どんどんと子供向けの怪獣映画にシフトしていったことも要因のひとつでしょう。

 子どもにとってゴジラはヒーローです。その引き立て役として自衛隊が使われることも多くなり、「やられ役」のイメージが付きまとうようになりました。それでも自衛隊は協力を続けています。当時は高度成長期で、自衛隊入隊希望者は非常に少なかったといいます。「悪さばっかりしてると自衛隊に入れちまうぞ!」などという暴言もあった時代です。公に広告は出しにくかった自衛隊のせめてもの宣伝だったのかもしれません。

 その様相に変化が訪れたのは、ゴジラ映画が低迷し10年のブランクを抜けた後の「平成シリーズ」、2000年以降の「ミレニアムシリーズ」と呼ばれる頃のことです。この頃になると、映画自体も子供向けの要素は少なくなり、自衛隊は作品によってはストーリーに大きく組み込まれていくようになります。

 大きな転機となったのは2002年に公開された第26作目『ゴジラ×メカゴジラ』でしょう。この作品では自衛隊が全面協力しており、実機・実車を多用した迫力ある映像が特徴の作品となっています。また主人公は自衛隊の装備であるメカゴジラ(3式機龍)のオペレーターという設定であり、ここに「ゴジラVS自衛隊」という構図がメインとなります。「やられ役」だった自衛隊が、ゴジラと対等の扱いになった瞬間です。

『シン・ゴジラ』劇中にも登場した、陸上自衛隊の装備のひとつ、10式戦車(画像:陸上自衛隊)
『シン・ゴジラ』劇中にも登場した、陸上自衛隊の装備のひとつ、10式戦車(画像:陸上自衛隊)

 そして、自衛隊のゴジラへの協力は2016年の第29作目、『シン・ゴジラ』で結実します。公開当初、自衛隊関係者や軍事評論家などは何度も同じ質問をされたといいます。「ねえ、あの自衛隊の対ゴジラ運用は正しいの?」。
 
 そして、その答えは「Yes」。キャッチコピーとなった「現実対虚構」の「現実」の部分を、「自衛隊」は見事に演じきったのです(実際演じたのは役者さんですが)。品川でゴジラと対峙したヘリコプターのOH-1とAH-1Sが民間人を発見し、攻撃を中止するシーン。多摩川の河川敷にすべての火力を集中させた「タバ作戦」。そして、劇終盤の一大決戦となる「ヤシオリ作戦」に臨む隊員たちの顔と指揮官の訓示……。

 もし日本に何かあったら、自衛隊員たちはこのように動くんだろうな……と、全てがリアルに迫ってきました。公開当時は「実際にゴジラが来たらどう対処するか」「その対策はできているのか」などの質問に元防衛大臣が大真面目に答えるという記事なども出て、「まずは知ってもらう」という自衛隊の広告効果はばっちりです。ゴジラの「やられ役」として登場して60年あまり。自衛隊の視点からゴジラ映画を見てみると、今までとは違う楽しみ方ができるかもしれませんね。

※記事本文の一部を修正しました。

(凪破真名)

●「3式機龍」がゴジラを迎え撃つ、『ゴジラ×メカゴジラ』

【画像】現実と虚構の交差点? ゴジラと戦った「自衛隊」装備の数々(6枚)

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