勢いに乗る『ゴブリンスレイヤー』TRPGの強い影響 外伝もアニメ化されるか?
テーブルトークRPGからの強い影響

読み進めて行くうちに感じたのは、テーブルトークRPG(以下、TRPG)やゲームブックの強い影響でした。ヒロインのひとりである「女神官」は当初1日3回のみ奇跡(魔法)を使えるのですが、これは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』という作品に登場する「クレリック」の仕様から来ているのだろうと確信しました。
また、作中の登場人物が知恵を駆使し、道具を使いこなしてうまく敵の裏をかくような戦法を使うシーンが多く、どことなく一人一人のキャラクターのなかに、生きている人間の意志を感じたのです。下手な動きをしたキャラクターはあっさり死んでしまうのも、TRPGだと考えると違和感はありません。
他のゲームだとばったばったと倒されていく記号でしかないゴブリンも、『ゴブリンスレイヤー』では罠を仕掛け、有利な地形を選び奇襲をかけてくる厄介なモンスターです。ゴブリンも必死に生きているからこそ人間と衝突し、互いの生存を賭けた闘争を行っています。これはゴブリンを種族としてとらえているからできる描写なのでしょう。
2018年にTVアニメ化された際に蝸牛くも先生がインタビューで語っているのですが、やはり先生自身もTRPGをかなりやり込んでいたそうで、『異界戦記カオスフレア』や『シャドウラン』、『D&D』、それとゲームブックの『ソーサリー』が気に入っているそうです。 『ゴブリンスレイヤー』も、TRPGが製作されています。
さて、2020年2月には劇場版も公開され、ますます勢いに乗る『ゴブリンスレイヤー』ですが、本編以外にも前日譚である『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』や名作RPG『ウィザードリィ』の影響を強く受けていると思われる、『ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》』などの外伝があります。どれも面白いので、これらの作品もアニメ化されないだろうかと、筆者はひそかに期待しています。
(早川清一朗)