『ガンダム』一年戦争の英雄もバックラー アムロとカイの職務放棄 なぜそうなった?
大型連休明け、五月病とまではいかなくとも、学校や職場へ行くのが憂鬱だという人は、新入生や新社会人でなくとも多いことでしょう。逃げ出すか否か、後に一年戦争の英雄と称えられるアムロやカイは、その一線を越えてしまいました。
一年戦争を勝利に導いた英雄たちも逃げ出していた
学校や会社を無断で休むことを指す俗語「バックレる」は、元々「しらばくれる」が語源だそうです(小学館「デジタル大辞泉」による)。バックレる人を指す「バックラー」なるネットスラングも見られます。
ゴールデンウィークもすでに過ぎ去った憂鬱なこの時期、ふとバックレが頭をよぎるかもしれませんが、「無気力になるのは自分だけじゃないんだ」と知れば、バックラーとならずに踏み留まれるかもしれません。
アニメ『機動戦士ガンダム』の主人公の「アムロ・レイ」も、ご存知のとおりバックラーとなってしまったひとりです。彼は正規の軍人でないにも関わらずモビルスーツ「ガンダム」を操縦し、何度もジオン軍との戦闘に臨んできました。そのような状況が続いていた第9話「翔べ! ガンダム」では、心身ともに疲れきった姿を見せます。
命令を拒絶して自室に閉じこもったアムロを、「ホワイトベース」の指揮を執る(このとき、まだ正式に艦長は拝命していない)「ブライト・ノア」が部屋から引きずり出そうとし、これにアムロは反抗的な態度を見せます。アムロはブライトに2度、平手打ちされると、「親父にもぶたれたことないのに」と有名なセリフを叫ぶのでした。
その後、幼なじみである「フラウ・ボゥ」の支えもあり、アムロは気を取り直してガンダムに乗るようになります。ところが第17話「アムロ脱走」でアムロは、ブライトが「パイロットとしてアムロは不適格者ではないか」と話しているのを耳にしてしまい、激しいショックを受け、そしてガンダムに乗りホワイトベースから脱走してしまうのでした。
せっかく気を取り直して働きだしたのに、上司に「使えない」と思われていると知ったら、逃げ出したくなってもおかしくありません。ただ、職場の備品である「ガンダム」を持ち出した点はいただけないでしょう。兵器なので罪はより重くなると思われます。
職務放棄した乗組員はアムロだけではありません。おもに「ガンキャノン」のパイロットを務めた「カイ・シデン」は、第27話「女スパイ潜入!」のなかで、軍人になることを嫌い、艦を降りています。さらにカイが街に出た際に再会した少女「ミハル」が、スパイ行為をしていることを知るや、ホワイトベースに関する情報を流してしまうのです。
アムロもそうですが、カイは自ら望んでパイロットになったわけではなかっただけに、戦い続けることに対して我慢の限界に達したのでしょう。ただ、その後のホワイトベースのピンチに駆けつけるところが、カイの仲間思いのあらわれなのかもしれません。
アムロもカイもジオン軍との一年戦争終結後には、英雄扱いされるほどの成果を挙げた人物です。新年度から1か月が経過した連休明け、モチベーションが上がらず今の状況に不満を持っていたとしても、アムロやカイですらそうだったのだと思えたなら、少しは気が軽くなるかもしれません。それでも憂鬱が晴れない場合は、早めにカウンセリングなどを受けましょう。
(LUIS FIELD)