『ZZ』のラスボス「ハマーン・カーン」はどのように生き死んだのか? 劇的なその人生
『Z』『ZZ』に登場するハマーン・カーンは、重要な役どころに加え、作品を代表する人気キャラクターのひとりです。若くして軍事勢力の実質的トップの座に就いた彼女は、どのような人生を歩んだのでしょうか。
生き急ぎすぎ? 「ハマーン・カーン」の短くも劇的な人生
『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』にレギュラーキャラクターとして、および1シーンのみながら『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』にも登場したハマーン・カーンは、作中屈指のカリスマ性と美貌に加え、高いニュータイプ能力を持つ腕利きのパイロットとして非常に大きな存在感を示したキャラクターです。声優を務めた榊原良子さんの声質と力量もあり人気は高く、初登場となった『Z』第32話の放送から40年近くが経過した今なお、ハマーンのファンを公言する方は大勢おられる様子がうかがえます。『アラサーOLハマーン様』(マンガ:いわさきまさかず/原案:矢立肇、富野由悠季/KADOKAWA)と題するスピンオフマンガ作品も連載中です。
普段は指導者として厳格かつ狡猾な立ち回りを見せますが、かつての想い人である「シャア・アズナブル」が絡んだ際には感情的な行動に出ることもあり、このとき見せる女性としての人間臭さも大きな魅力のひとつでしょう。
初登場時、若干20歳の女性にして、主に敗残兵とその家族で構成された「アクシズ」の指導者であったハマーンは、後に「ネオ・ジオン」の総帥となっていきます。もちろん、そこに至るまでには紆余曲折がありました。
宇宙世紀0067年1月10日、「デギン・ソド・ザビ」(のちのジオン公国公王)の側近である「マハラジャ・カーン」の次女として生まれたハマーンは、少女時代にはニュータイプの素養が発露しており、マンガ『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』(著:北爪宏幸/KADOKAWA)ではニュータイプ研究機関で調査を受けていたことが明らかにされています。
このときのハマーンは、自分の体を調べられるのを嫌がり研究を拒絶するなど、後にネオ・ジオンの総帥として君臨する姿をまったく想像できない、年頃の少女らしい反応を見せていました。
そのようなハマーンの運命が大きく変わったのが宇宙世紀0079年末の、一年戦争におけるジオン公国の敗北でした。降伏を良しとしない高官や軍人は、家族をともないアステロイド・ベルトに存在する小惑星基地「アクシズ」へと逃げ込み、その中に当時12歳だったハマーンの姿もあったのです。