『Zガンダム』なぜ「ゼータ」と読む? ギリシア文字つきガンダムはどれだけいるのか
『機動戦士Zガンダム』の「Z」をゼータと読むのには実は大きな理由がありました。タイトルに込められた意味を紐解きつつ、ギリシア文字を使ったガンダムたちの歴史を振り返ってみましょう。
「Z」が「ゼット」ではなく「ゼータ」である理由
おそらく、ほとんどの「ガンダム」ファンは『機動戦士Zガンダム』の「Z」を、「ゼット」ではなく「ゼータ」と正しく読むことができると思います。しかし、どうしてアルファベットのゼットではなく、ギリシア文字のゼータを使うことになったのでしょうか。
もともと『Zガンダム』の企画立ち上げ時、さまざまなパターンでの『機動戦士ガンダム』の続編が考えられていました。そのなかには過去の宇宙世紀を舞台とした『アルファガンダム』や、逆にU.C.0111(宇宙世紀トリプルワン)という未来を舞台にした作品もあったそうです。
こうした紆余曲折を経て『Zガンダム』は制作されます。このZにはゼータである意味も込められており、それは「前作から6年後に制作」という意味でした。「Z」はアルファベットでは26番目にして最後の文字ですが、ギリシア文字では6番目です。それゆえにギリシア文字読みが採用となったのでしょう。
もうひとつ考察されるのが、Zが数字の「2」に似ていることです。すなわちガンダムの続編、第2作であることを意味している点でした。こちらは放送当時の噂話ではありますが、富野由悠季総監督ならばあり得るだろうダブルミーニングだと思います。
こうしてギリシア文字がタイトルに使われることになった『Zガンダム』、それが起点となって、本編ではギリシア文字が効果的に使われることになりました。その最たる例がMS(モビルスーツ)の装甲材質「ガンダリウムγ(ガンマ)」です。
このガンダリウムγを使用したMS第1号だったことから、「γガンダム」と名付けられる予定だったのが「MSA099 リック・ディアス」でした。もっとも、このくだりはアニメ本編で語られたものではなく、小説版や後の設定で補完された話です。
こうしてギリシア文字を使ったガンダムの歴史が始まりました。そのなかには公式設定というには不確定なものもありますが、順を追って解説していきましょう。
ちなみに前述した通り、ガンダリウムγを使ったからγガンダムであって、「α(アルファ)ガンダム」や「β(ベータ)ガンダム」が存在するというわけではありません。しかし、この2機に関しては考察に基づいた仮説があります。
まず初代である「RX-78 ガンダム」がαガンダムという説。これに関しては大方の人が納得できることでしょう。一方のβガンダムは諸説あり、リック・ディアスと酷似している「RX-78GP02A ガンダム試作2号機(サイサリス)」を挙げる人がいます。確かに系列的には理解できる話でしょうか。
このほかにも「ガンダム開発計画」で開発されたGPシリーズすべてがβガンダムであるという説、直接の関係がない「RX-178 ガンダムMk-II」を挙げる人もいます。つまり考察の域を出ない話なので、映像といった形で登場しない限りは永遠に答えのない話ということでしょうか。
その代わりγの次、δ(デルタ)以降のギリシア文字を使ったガンダムは明確に設定されたものが多くありました。こちらは「『アナハイム・エレクトロニクス』が開発したMS」が前提となっています。