ソーシャルゲームが続々開発中止のワケ 「儲からなければサービス終了」には落とし穴が?
近年、スクウェア・エニックスやバンダイナムコホールディングスなどの業界大手が次々とゲームの開発を中止しています。いずれも明確なタイトルは明らかになってはいませんが、複数のソーシャルゲームが含まれているようです。なぜ企業は投資を無にする覚悟で、開発を中止したのでしょうか?
業界大手がソシャゲの開発を中止している?

近年、スクウェア・エニックスやバンダイナムコホールディングスなどの業界大手が次々とゲームの開発を中止しています。いずれも明確なタイトルは明らかになってはいませんが、複数のソーシャルゲームが含まれているようです。なぜ企業は投資を無にする覚悟で、開発を中止したのでしょうか?
スクウェア・エニックスが2024年5月13日に発表した2024年3月期決算は、衝撃的なニュースとして受け止められました。デジタルエンタテイメント関連の一部主要コンテンツ開発を中止したために生じた、コンテンツ等廃棄損220億8700万円が特別損失として計上されていたのです。
これに先立ち2月には、バンダイナムコホールディングスが2024年3月期第3四半期決算において、オンラインゲームの新作などに関わる評価損及び、タイトル編成の見直しに伴う開発中止による処分損約210億円を計上しています。
タイトルこそ明確にはなっていませんが、両企業とも開発を中止したタイトルのなかに、ソーシャルゲームが含まれていることは明確です。近年はソーシャルゲームが「当たれば非常に儲かる」と考えられており、多くの企業が先を争うようにして、多くのタイトルを開発しては世に送り出し、大半は顧みられることなく消えていきました。
なぜ、「当たり」を求めてゲームを乱造する事態となったのでしょうか。その理由は、ソーシャルゲーム及びブラウザゲームは、大型化が進むコンシューマゲームのなかでも比較的開発費が安く、また早く作れるという点があります。どんどん作り、当たったタイトルにリソースを集中して課金を呼び込み、人気のないタイトルは即終了するやり方でも、利益が出ていたのです。
特に新型コロナウイルス禍の状況下では、屋内にこもる人が非常に多かったことも、市場を後押ししました。屋外の娯楽にお金を使えない人が、課金にお金を回すようになっていたのです。
しかし、いまソーシャルゲームには逆風が吹いています。皆が普通に外出できるようになったこともありますが、それ以上に「サンクコスト」が重要な問題になっているのです。