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「予約したのに」社会問題を巻き起こした『ドラクエ3』 パーティ編成の面白さは格別

予約したのに、買えない…子供を苦しめた「抱き合わせ販売」

すぎやまこういち氏の音楽もゲームの感動を盛り上げた『交響組曲ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(キングレコード)
すぎやまこういち氏の音楽もゲームの感動を盛り上げた『交響組曲ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(キングレコード)

 列の先頭は、ずっともめていました。やがて肩を落として去っていく同年代の少年たち。いったい何が起こっているのだろう? そう不安になった筆者の耳に飛び込んできたのは、去っていく人間たちの「2本セットじゃないと売ってもらえない」という言葉でした。

 ようやくカウンターにたどり着いた筆者にも、店員から「ごめんね? 2本セットじゃないと売れないのよ」という言葉が投げかけられました。目の前に『ドラクエIII』がある。予約もしている。だというのにこの仕打ち。お金はカセット1本分しかありません。口惜しさと悲しさが入り混じった気持ちを抱えながら、すごすごと退散するしかありませんでした。

 家に帰って「『ドラクエIII』がないと友達との会話に入れない」と駄々をこね、どうにかもう一本分のお金を出してもらい、なんとかその日の内に『ドラクエIII』を手に入れることができたのは母に感謝するしかありません。ちなみに抱き合わせされていたカセットは、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)の『ファイナルファンタジー』でした。

 苦心の果てに手に入れた『ドラクエIII』は、本当に素晴らしいゲームでした。キャラクター育成とパーティ編成の楽しさは、想像以上の面白さを与えてくれました。特に役立たずだと思っていた遊び人は、賢者に転職できることが分かったとたん、みなが掌を返すようにして育て始めたのをよく覚えています。ストーリー面でも勇者の父親であるオルテガとの一瞬の邂逅。空中を移動するための手段として登場した「ラーミア」の曲の美しさ、『I』『II』の舞台となったアレフガルドの登場など、様々な楽しさと喜び、悲しみ、驚きがぎっしりと詰め込まれていました。

 ただ、当時一流のクリエイターの方々が心血を注いで作り上げた面白さと前評判が、抱き合わせ販売だけでなく大行列や「ドラクエ強盗(カツアゲ)」などの社会問題を引き起こしてしまったのは残念でした。この問題は次回作『ドラゴンクエストIV』まで尾を引いてしまうのですが、それはまた、別の機会に。

(早川清一朗)

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