「何見てるの?」じっと一点を見つめている猫 飼い主が仕事に戻ると…?
漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。猫は、何もない空間をじっと見つめていることがあります。迷子さんはつい「何を見ているの?」と聞いてしまうのですが、そこにはやはり何もありません。ところが、飼い主がその場を離れると……。
猫の視線の先には、何がある?

漫画家の迷子さんによる描き下ろしエッセイ。
飼い猫が、何もない一点を見つめていることがあります。虫でもいるのかと思えば、そうでもなく……では、何を見ているのでしょうか。
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猫が一点を見つめている
並んで同じ方向を見つめてみる。何もない。虚無。怖いからやめてほしいと泣きついてみるも、猫はその視線を外さない。紫外線など、人には見えないレベルの物を見ているのだとも言われているし、人には聞こえない音や匂いに反応しているのだとも言われているし、ほこりとかを追っているのかもしれないし、あと小さな虫とかが物陰にいるのに気が付いているのかもしれない。というか、意味なんかないのかもしれない。
分かってはいるものの、「何かいるの?」と聞きたくなってしまうのはなぜだろう。
猫には怪奇を見いだしがちだ。クトゥルフ神話の祖H・Pラヴクラフトによれば、「猫は謎めいた生きものであり、人間には見えない不思議なものに近い」のだそうだ。あまり異形寄りになられると寂しいので、できれば不可解レベルでとどまっていてほしいものだと思う。
なお引用元の『ウルタールの猫』は、猫好きに勧めていいものかと悩む類いの内容だが、とても短いので勢いでぜひ読んでほしい。読んで心が傷付いた場合は、各自、近隣の猫と戯れ癒やされるなどすればいいと思う。
※『ラヴクラフト全集6』著:H・P・ラヴクラフト 訳:大瀧啓祐(1989年・東京創元社)
(迷子)