なぜこれほどぬるくなった? 「ドラクエ」シリーズの「はぐれメタル狩り」今昔
「ドラクエ」シリーズのプレイヤーなら、おそらく誰しもが通った「はぐれメタル狩り」も、『ドラクエ11』ではずいぶんと難易度が低くなっています。かつてはどのようなもので、なぜそのように「ぬるく」なったのでしょうか。
ファミコン世代はどう思う? 多種多様な『ドラクエ11』の「はぐれメタル狩り」
人気RPG「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)シリーズにおいて、経験値を稼いでレベルを上げることを主目的とする「はぐれメタル狩り」は、誰しもが通る道でしょう。ところがファミコン時代の「ドラクエ」シリーズと比べると、最新の『ドラクエ11』の「はぐれメタル」をはじめとするメタル系のまものは狩りやすくなっており、気持ちとして「ぬるい」と感じたのが本音です。なぜこれほど狩りやすくなっているのでしょうか。
そもそもはぐれメタルを倒すには、逃げ出す前に高い防御力とすばやさをかいくぐってダメージを与える必要があります。シリーズタイトルの多くで、倒すのに必要とされるダメージ量はさほど多くないものの、与えられるダメージ量は通常、1ポイントずつで、しかも避けられることも多いため、けっこうな割合で倒し切る前に逃げられる、というわけです。いわゆる「会心の一撃(かいしんのいちげき)」は大きなダメージを与えられ、おおむね一撃で倒せるため、運良く出たときの爽快感はたまらないものがありました。
ところが2017年に発売された『ドラクエ11』には、その会心の一撃を出す「特技」や、メタル系モンスターに有効な「れんけい技」などが存在します。特に、特技「会心必中」を使えば確実に会心の一撃がヒットするため、プレイヤーキャラクターの行動より前にはぐれメタルが逃げ出さない限り、確実にこれを倒すことができました。
また、少ないながらも確実にダメージを与える方法として、メタル系モンスターに与えるダメージを増やす「はぐれメタルの剣」「メタスラの剣」といった武器や、1から2のダメージを確実に与える特技「メタル斬り」も有効です。
さらに、れんけい技「スペクタクルショー」を使えば、敵を高確率でメタル系だけのまものに入れ替えることができるため、場所を問わずにはぐれメタルと出会うことができます。
このように、はぐれメタル狩りに有効な特技や武器などがある『ドラクエ11』と比べると、ファミコン時代の「ドラクエ」シリーズにおけるはぐれメタル狩りは高難易度かつ、非常に手間のかかるものでした。
なかでも『ドラクエ2』で初登場したはぐれメタルは、後発のシリーズタイトルと比べると、得られる経験値は1050ポイントとたいへん少ないものでした。たとえばシリーズ次作『ドラクエ3』では、この10倍の1万程度の経験値です(4人パーティの場合のひとりあたり獲得ポイント)。とはいえ『ドラクエ2』でもっとも経験値を得られるまものであることに違いはなく、血眼になって狩りまくったというプレイヤーは多いことでしょう。
HPも35と高く、攻撃呪文「ベギラマ」や、攻撃を空振りしやすくなる「マヌーサ」を唱えてくるので、まともに戦えば全滅させられることもあります。ただ、与えられるダメージが後発作品と異なり1ポイント程度ということはなく、ある程度レベルの上がったローレシアの王子なら一撃で倒せたため、比較的、狩りやすかったとはいえるでしょう。ファミコン版発売当時、小学6年生だったというプレイヤーは、「一緒に現れた『あくましんかん』に『ザオリク』で生き返らせてもらってはぐれメタルを何度も倒すと、倒したぶんだけ経験値が上乗せされていくので、それで経験値を荒稼ぎしていました」といいます。