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「改変が的確」「まんま出てきた」好評な「全1巻」マンガの実写化 短い方が良い?

長編マンガに比べ、短編マンガ原作の実写化は削る部分があまりないため、原作の再現度が高いと好評になることがあります。今回は、原作ファンから好評だった「短いマンガ」の実写映画を振り返りましょう。

原作者も絶賛した実写化

映画「カラオケ行こ!」ウルトラティザービジュアル (C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会 (C)和山やま/KADOKAWA
映画「カラオケ行こ!」ウルトラティザービジュアル (C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会 (C)和山やま/KADOKAWA

 毎年何本も作られるマンガの実写化映画のなかで、「長編マンガ」の実写化は、約2時間の尺に収めるために大幅に改変されてしまうことも多いです。また、1作で完結せずに、続編まで時間が開いてしまうこともありました。

 一方「短編マンガ」は、最後の話まで映画1本で完結するものがほとんどで、すぐに最後まで観たい人におすすめです。今回は、「全1巻」の原作を実写化し、高い評価を得た作品を振り返ります。

●『カラオケ行こ!』

 2024年1月に公開されたばかりの映画『カラオケ行こ!』は、和山やま先生の同題マンガが原作で、綾野剛さんが主演を務めました。綾野さん演じる絶対に歌を上達させなければならないヤクザ「成田狂児」が、オーディションで選ばれた新人の齋藤潤さん演じる変声期に悩みながらも合唱部部長を務める「岡聡実」にレッスンしてもらい、友情が芽生えていく物語です。

 今回の実写化に和山先生本人が公式サイトに「漫画では描けなかったキャラクター達の生活や在り方が、空気感はそのままに繊細に肉付けされていて感動しました」とコメントしています。

 映画版は原作をただ実写化したわけではなく、「ヤクザと中学生の交流」というコンプライアンス面で危うい部分を中和させるための改変や、合唱部の各キャラクターの掘り下げ、完全オリジナル要素の「映画部」の描写など、さまざまな要素を肉付けしながら構成されていました。

 また、「映画『カラオケ行こ!』シナリオブック」では、脚本担当野木亜紀子さんが監督の山下敦弘さんに、映画オリジナルの合唱部の女子たちの描写に関して、同じ和山先生作品の『女の園の星』の女子高生たちをイメージして演出してほしい、と伝えたことを明かしています。そういった、原作および作者へのリスペクトある工夫も盛り込まれ、ファンからも初見の観客からも好評が相次ぎました。

「原作の広げ方がしっかりしているので楽しめた」「マンガのキャラがそのまま出てきたと思うくらいの違和感のなさ」「実写ならではの『歌唱』シーンが全部面白いし、エモい」と絶賛されています。

●『森山中教習所』

 2016年に実写化された『森山中教習所』は、「月刊!スピリッツ」で連載されていた真造圭伍先生のマンガが原作です。野村周平さんと賀来賢人さんが初共演し、W主演を務めました。

 野村さん演じる能天気な大学生「清高」と、賀来さん演じる根暗なヤクザの組員「轟木」は高校の同級生で、交通事故を機に再会します。再会したふたりが運転免許取得を目指して同じ教習所に通い、友情を深めていく青春ドラマです。

 友情だけでなく麻生久美子さん演じる教官「サキ」に恋する清高の恋愛模様や、ヤクザを続けていいのかと葛藤する轟木の姿といった人間味あふれる登場人物たちにも注目です。また、野村さんと賀来さんの正反対なふたりの掛け合いのテンポの良さや、野村さんの「アホすぎる主人公」の演技に思わずクスッとしてしまいます。

 のんびりとした田舎が舞台で、ほのぼのとした原作の雰囲気をしっかり映像化されており、「見てると穏やかな気持ちになってくる」「ひと夏の思い出がエモい」と、こちらも好評を得ました。

【画像】え…っ? 「綾野剛の熱唱顔に爆笑」「ラ・ラ・ランドのオマージュ?」これが『カラオケ行こ!』のふざけ過ぎなビジュアルの数々です(5枚)

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