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『鬼滅の刃』不死川と伊黒の勝負の行方は? 気が合うふたりの意外な共通点

アニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』はオリジナルの追加エピソードでキャラクターが深掘りされています。原作では見られなかった不死川と伊黒の勝負の行方と彼らの意外な共通点について考えてみました。

実は気が合うふたり

画像は2024年7月3日発売予定『鬼滅の刃 柱稽古編』DVD/Blu-ray Vol.1 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
画像は2024年7月3日発売予定『鬼滅の刃 柱稽古編』DVD/Blu-ray Vol.1 (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 アニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』では多くのオリジナルエピソードが追加されており、キャラクターの描写が充実しています。4話以降には、1話冒頭の「不死川実弥」と「伊黒小芭内」の共闘に続いて、ふたりの手合わせが描かれるようです。原作では描かれることのなかったふたりの勝負はどうなるのでしょうか。

※この記事にはアニメ『鬼滅の刃 柱稽古編』3話以降の内容を含みます。未視聴の人はネタバレにご注意ください。

 苛烈な態度で荒々しい剣技を使う不死川と、陰湿な態度で変則的な剣技を使う伊黒の間には他の柱たちの間には見られない関係性があります。『鬼滅の刃公式ファンブック 鬼殺隊見聞録・弐』(集英社)収録の「柱相関言行録」によれば、柱のなかで唯一お互いのことを「気が合う」という記述が明記されているのです。

 アニメで共闘や手合わせが追加されたのは、原作では十分な紙幅が割かれていなかったふたりの関係性を深堀りするためでしょう。

 1話では、一般隊員の前でお互いを「風柱」「蛇柱」と呼び合っていたふたりが、誰もいないところではお互いを名字で呼び合っている様子が描かれ、息のあったバトルを見せました。鬼をバラバラに切り刻む不死川と、急所だけを滑らかに切断する伊黒の剣技がうまく噛み合っており、声をかけなくてもお互いをフォローし合う姿勢が見事です。

 しかしふたりが親密なのは「共闘しやすいから」というだけではないでしょう。当初、不死川は鬼と化した禰豆子を刺すなど最も厳しい態度を示し、伊黒も禰豆子を信用せず竈門兄妹をかばった「水柱」である「冨岡義勇」の隊規違反をネチネチと責めました。ふたりとも鬼に対して強い敵対心を持っているのです。

 また、不死川は鬼と化して兄弟を殺してしまった母親をその手にかけています。一方、伊黒は蛇の半身を持つ鬼が支配する女ばかりの一族に生まれ、座敷牢に閉じ込められて食べられるのを待つ幼少期を過ごしました。鬼に対する憎しみや、人を守るという強い目的意識がふたりの関係の根底にあるのは間違いありません。

 実は不死川と伊黒には意外な共通点があります。それは「人を愛する心」を人と距離を置き、隠している点です。伊黒と「恋柱」の「甘露寺蜜璃」は明確な相思相愛関係にありますし、不死川はただひとり生き残った弟「玄弥」の身を案じて、憎まれ役をかってでも戦いから遠ざけようとしました。

 前述の「柱相関言行録」では、「岩柱」の「悲鳴嶼行冥」からは、不死川が故「花柱」の「胡蝶カナエ」に好意を持っているようにみえたようです。また炭治郎の優れた嗅覚によって、甘味好き(特におはぎ)であることも明かされました。

 これらの点を総合すると、不死川は激しい戦い方や苛烈な態度からは想像できないほど豊かな人間性の持ち主だといえます。無惨を倒した後、人間に戻った禰豆子の笑顔に亡き弟の姿を幻視して頭をなでたときの優しい表情こそ、本来の不死川実弥の人間性だと思われます。

 恋愛や家族愛といったように愛の形は違いますが、ふたりとも人を愛する心や人間的な欲求を苛烈な態度や皮肉っぽい態度で隠して、鬼を斬る役割に徹しているのです。きっと戦いにおいて人間性が弱みになることを恐れているのでしょう。不死川と伊黒の気が合う最大の理由は、人間的な感情を「柱」の仮面で隠している点にあると思われます。

 原作マンガの「柱稽古編」は終盤までバトル展開がありません。そのため4話以降に描かれるであろう、ふたりの手合わせが数少ないバトルシーンといえるかもしれません。不死川の荒々しい風の呼吸の剣に対し、伊黒の蛇の呼吸の剣が曲がりくねって迫るハイクオリティなアニメーションが期待できそうです。

※禰豆子の「禰」の字は、「ネ」+「爾」が正しい表記

(レトロ@長谷部 耕平)

【画像】そりゃ、好きになっちゃうよ… これが不死川と伊黒が好意を寄せる美女です(3枚)

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