「重要なセリフが」「やれる人いなくね」 実写化で消えたキャラへの反応は?
マンガの実写化では、さまざまな理由でキャラクターの削除や、設定変更が行われます。今回は、残念ながら実写版に登場しなかったキャラを振り返ります。
原作で重要な役割でも実写化ではいなくなった
マンガの実写化において、原作にいたキャラが削られることは往々にしてあり、上映時間や予算の都合など理由はさまざまです。なかには原作ファンから愛されるエピソードが消えたり、人気キャラを消して恋愛要素を強くしたりと、ファンが戸惑うことも少なくありません。
●『弱虫ペダル』手嶋純太
2020年にKing & Princeの永瀬廉さん主演で実写映画化された『弱虫ペダル』は、渡辺航先生による「週刊少年チャンピオン」で連載中の同題マンガが原作です。自転車ロードレースに挑む高校生たちを描いたスポーツマンガで、2023年7月時点でコミックスの累計発行部数は3000万部を超えており、過去には舞台やドラマも人気を博しました。
『弱虫ペダル』の原作と実写映画では、インターハイ出場までの過程が異なりました。原作では、3年生だけで出場したインターハイ千葉県予選後、4日間で1000km走破する強化合宿が行われてから、インターハイ出場という流れで描かれています。一方、実写映画では、上級生とのペア練習での強化合宿後に、インターハイ千葉県予選という流れで描かれました。
4日間で1000km走破の課題がなくなったためか、2年生の「手嶋純太」と「青八木一」のふたりと、主人公「小野田坂道」たち1年生のバトルシーンや、3年生の「田所迅」と手嶋、青八木の3人の絆を描いたシーンは、全てカットされています。そのため、2年生は実写映画に登場しません。
また、原作のインターハイを描くエピソードで、小野田が集団落車で最下位になってしまったときは、手嶋が「登りで100人抜け!!」と背中を押します。しかし、実写映画では予選で落車が起こり、橋本環奈さん演じるマネージャーの「寒咲幹」が、「登りで100人抜きなさい」と背中を押すように改変されていました。
手嶋の名言が寒咲のセリフに変更され、モヤモヤした人も少なくなかったようです。「実写版は手嶋役が橋本環奈」という、ウソのSNS投稿も流行りました。
手嶋は映画本編には登場しないものの、実は部室のホワイトボードに名前が書かれています。映画の続編を見越して、手嶋の名前だけ出していたのかもしれませんが、現在まで続編制作の発表はありません。
●『味いちもんめ』ボンさん
あべ善太先生による『味いちもんめ』は、料理学校を卒業して新宿の料亭「藤村」に就職した主人公「伊橋悟」が、料理人として成長していくグルメマンガです。その登場人物のひとりである「ボンさん」は、第1巻から顔を見せ、『味いちもんめ 食べて・描く! 漫画家食紀行』などの番外編にも見える登場回数の多いキャラクターでした。伊橋の同僚でソープ仲間のひとりでもあるボンさんは、職場の雰囲気を和ませたり、伊橋とテンポの良い掛け合いをしたりといった役どころです。
『味いちもんめ』は1995年に中居正広さん主演でドラマとして実写化され、視聴者からの熱い要望に応えてスペシャルドラマとして復活したこともありました。人気の高いドラマですが、前述のボンさんは2013年までの4度のスペシャルドラマも含め、一度も登場しません。
ボンさんは瞳が互い違いで描かれていたり、顔の形が四角かったりと、見た目にかなり特徴があります。そのため、実写版を振り返ったレビューのなかには、「ボンさんは誰も演じられないキャラだから、登場しなくてよかったんじゃないか」という声も聞かれました。