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『機動戦士ガンダム』どうしてこうなった? 名前が一緒のMSが生まれたワケ

長く続いている「ガンダム」シリーズでは、時に意図せずに同じ名前のMSが生まれてしまうこともありました。なかには一方に名前を譲って改名するMSもいます。どうしてそうなったのか紐解いてみました。

名前が一緒な理由を考察で乗り越えたことも?

初出は『ZZ』、「ドム」ですな。「MG 1/100 ドワッジ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
初出は『ZZ』、「ドム」ですな。「MG 1/100 ドワッジ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 およそアニメやマンガなど創作物のシリーズが長く続くと、ケアレスミスのようなことが起こるものです。製作者の変更、メディアの違いといったような、シリーズ規模の大きくなることが原因なのでしょう。

 40年以上シリーズが続いている「ガンダム」シリーズも例外ではありません。その長い歴史において、意図せず同じ名前のモビルスーツ(MS)が生まれることもありました。

 その代表ともいえるのが「ドワッジ」です。2024年現在、ドワッジといえば、『機動戦士ガンダムZZ』で初登場した「MS-09G ドワッジ」を思い浮かべる人も多いことでしょう。そして、よく似た名前として「MS-10 ペズン・ドワッジ」を挙げることと思います。

 実はこのペズン・ドワッジは、発表当時は普通にドワッジと呼ばれたMSでした。その名称変更の経緯について振り返ってみましょう。

 もともとペズン・ドワッジが発表された媒体は、『機動戦士ガンダム』のプラモデル「ガンプラ」の企画案のひとつ「MS-X」でした。ちなみにXには「ペズン」とルビが付いた資料もありますが、一般的には「エムエスエックス」と呼ばれています。

 この「MS-X」は最初のガンプラオリジナル企画だった「MSV(モビルスーツバリエーション)」に続いて展開される予定でした。「MSV」は既存のMSの改修型がメインでしたが、「MS-X」は「幻のMS」をコンセプトに企画されることになります。

 ここでいう幻のMSとは、全43話で打ち切られた『機動戦士ガンダム』が、全52話を予定していた当初の構想を記したメモ、通称「トミノメモ」にて名前だけが設定されたMSでした。そのため、メカデザインは本編と同じく大河原邦男さんが担当、ストーリーは本編でもメインライターをつとめた星山博之さんという豪華スタッフでスタートします。

 ところが、「MS-X」正式発表直後に『機動戦士Zガンダム』の製作が決定しました。TVアニメが始まるのに模型主導の企画はできないという判断から、「MS-X」は中止となります。木型(モックアップ)まで製作され、雑誌でも大きく扱われた「MS-X」でしたが、皮肉にも設定と同じく「幻」となりました。

 そして、その2年後の『ZZ』のアニメ本編で同名のドワッジが登場するわけです。そう名付けた意図は不明ですが、おそらくトミノメモに記されたドムの発展型ということでドワッジと名付けられたのでしょう。発表当時、多くのファンからドワッジは既にいるのにという声はありました。

 その後、緩やかにペズン計画のドワッジはペズン・ドワッジと名称が変わります。現在の設定では、「ドム」の後継機に付ける予定の名前がドワッジだったが、宇宙と地球という別の場所で同時期に試作されたので同じ名前になったとされていました。

 ちなみに、同じくペズン計画で発表された「MS-17 ガルバルディ」も、『Z』で後継機である「RMS-117 ガルバルディβ」が登場したことで、「ガルバルディα」との表記が見られるようになっていきます。

【画像】「ドムでしょ?」ドワッジよりも「ドム」っぽい「ペズン・ドワッジ」をチェックする!

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