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おなじみ「バルタン星人」の大きな変遷。「幻の作品」から人間味あふれる設定に

涙を流す、21世紀のバルタン星人たち

劇場版『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』DVD(バンダイビジュアル)
劇場版『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』DVD(バンダイビジュアル)

 さまざま事情から実現しなかった『バルタン星人大逆襲』の企画ですが、その内容は飯島敏宏監督が自らメガホンをとった映画『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001年)、『ウルトラマンマックス』(2005年~2006年)の第33話・第34話「ようこそ地球へ」の前後編の内容に大きく反映されました。2作品とも地球の少年とバルタン星人の交流が主軸に置かれ、登場するバルタン星人も単なる悪役として登場するものではありません。

『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』には、大人のバルタン星人と子供であるチャイルドバルタンがそれぞれ登場します。大人のバルタン星人は母星を失った子供たちのため地球を手に入れようとしますが、チャイルドバルタンたちは武力による地球侵略を快く思ってはいません。

 バルタン星人の宇宙船「廃月」とその軌跡が虹色というイメージ、チャイルドバルタンたちがバルタン星人の亡骸を宇宙船に乗せて飛び立つラストは、『バルタン星人大逆襲』からそのまま受け継がれたものです。

『ウルトラマンマックス』の「ようこそ地球へ」も基本的な構図は同じで、地球侵略を狙う強硬派のダークバルタン、穏健派のタイニーバルタンという、考え方の違うバルタン星人がそれぞれ登場します。こちらのバルタン星人たちは、もともと人間に似た姿だったという設定が『バルタン星人大逆襲』から流用されました。

 上記の2作品のバルタン星人は、考え方の相違から敵と味方に分かれて登場します。またこの2作品に登場したバルタン星人は涙を流すのも特徴です。バルタン星人内での意見対立や、涙を流す感情表現などから、この2作品に登場するバルタン星人は単なる侵略者ではなく、より人類に近い存在として描かれているといえるでしょう。

 飯島監督が手掛けたこの『ウルトラマンマックス』のエピソード以降、ウルトラシリーズにバルタン星人がメインの敵として登場するエピソードは制作されなくなってしまいました。生みの親である飯島監督がこの2作品でバルタン星人を非常に掘り下げて描いたためか、単なる「敵役」として登場させにくくなっているのかもしれません。

 またもしかすると、今の地球はバルタン星人にとって生活しやすい緑あふれた美しい星ではなくなってしまったのかもしれません。

(森谷秀)

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