マグミクス | manga * anime * game

「初見殺し!」「心が折れまくった」子供たちを泣かせたFCソフトは何が難しかったのか?

1000種類以上も発売された「ファミリーコンピュータ」のソフトのなかには、数々のプレイヤーを泣かせた「鬼畜ゲー」がありました。クリアを諦めてしまうほどの高い難易度が、強く記憶に残っている人も多いでしょう。無慈悲な「初見殺し」のプレイを求められたファミコンソフトには、どんなタイトルがあったのでしょうか。

クリアを阻む初見殺し…まず死んでからスタート!

問答無用のトラップで「初見殺し」される!『ミシシッピー殺人事件』(ジャレコ)
問答無用のトラップで「初見殺し」される!『ミシシッピー殺人事件』(ジャレコ)

 当時の子供たちを熱狂させた任天堂の「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)には、高難易度を誇るゲームソフトがいくつもありました。せっかく誕生日やクリスマスにプレゼントとして買ってもらったソフトでも、難しさのせいでクリアを諦めたことがあったのではないでしょうか。なかには、予備知識がない状態でプレイするとゲームオーバーになってしまう、いわゆる「初見殺し」が多発する、とりわけ難易度の高いソフトもありました。子供たちが自力でクリアするのは、ほぼ不可能だったといってもいいソフトには、どんなワナがあったのでしょうか。

●『ミシシッピー殺人事件』

 1986年にジャレコから発売された『ミシシッピー殺人事件』は、豪華客船で起こった殺人事件の解決を目指す推理アドベンチャーゲームです。

 船客の部屋を調べたり、船客に証言を聞いたりして真相に迫っていきます。最初は「ほかのおきゃくさんにあいさつをする」ということで、名探偵「チャールズ卿」と助手「ワトソン」を操作してほかの部屋に行きます。すると、死体を発見する前に、問答無用で謎のトラップが襲ってくるのです。

 例えば「船室に入ったら落とし穴」「ナイフが頭部目がけて飛んでくる」というトラップが発動し、回避できなければ即ゲームオーバーです。また、厄介なのは、船客から同じ証言を2度聞けないことで、再び問いかけても「もういいました」と拒否されてしまいます。

 証言は作中のメモ機能にストックし、容疑者から情報を引き出したい時に「メモをみせる」というコマンドを使います。ところが、うっかり大事な証言のメモを忘れてしまえば、その時点で立ち行かなくなります。つまり、「リセット」しなければならず、さらにセーブ機能もないために、最初からやり直す必要があります。些細なミスによって振り出しに戻されることを繰り返すと、心が折れてしまっても仕方ありません。

 実際に『ミシシッピー殺人事件』をプレイしたことがある人からは、「容疑者ひとりにつき3つまでメモできるんだけど、それがもどかしくて『全部メモしろよ!』ってブチ切れた」「ずっと変な死に方をするゲームだと思ってた」などの声があがっています。ネット上の声を見る限り、最初の段階ですでに何をすればいいか分からず、そのままフェードアウトした人も多いようでした。

●『トランスフォーマー コンボイの謎』

「開始2秒で即死するゲーム」として有名なファミコンソフト『トランスフォーマー コンボイの謎』(タカラ)のタイトル画面
「開始2秒で即死するゲーム」として有名なファミコンソフト『トランスフォーマー コンボイの謎』(タカラ)のタイトル画面

「開始2秒で即死するゲーム」として有名なタイトルといえば、1986年にタカラ()から発売された『トランスフォーマー コンボイの謎』が挙げられるでしょう。

 同作は玩具やアニメ作品として知られている『トランスフォーマー』を題材にした横スクロールアクションゲームで、主人公「ウルトラマグナス」を操作して悪の軍団「デストロン」のせん滅を目指します。

「開始2秒で即死」といわれるゆえんは、1ステージ目の開始早々に出現する敵キャラの攻撃にあります。というのも、その攻撃はとても小さく、背景と同化してしまっているためとても見えづらく、気付いた時にはウルトラマグナスが攻撃を受けて爆発しているのです。

 さらに、動きが速い敵に少しでも触れたら即死判定となってしまい、敵の数が多いところも難易度が高い要素でした。全10ステージを突破することは至難の業で、それどころか、1ステージ目で挫折するプレイヤーも続出しました。

 ところがボス戦は、道中の難易度と比べものにならないほど、簡単にクリア可能でした。単調な攻撃をかい潜りながら、攻撃を当てるだけで倒せてしまうという、「いままでの苦労はなんだったの?」と思わせてしまう点も、プレイヤーの心を折る要因だったかもしれません。

●『カラテカ』

勝負の前に一礼するのは、空手家なら当たり前? 画像はスマートフォン版『Karateka Classic』
勝負の前に一礼するのは、空手家なら当たり前? 画像はスマートフォン版『Karateka Classic』

 1985年にソフトプロから発売された『カラテカ』は、初見殺しのオンパレードといっていいタイトルです。同作は、極悪非道の「アクマ将軍」にさらわれた「マリコ姫」を救うため、主人公「カラテカ」を操作して、次々と送られてくる敵を倒すというアクションゲームです。

 バトルでは、パンチやキックなどを駆使して敵にダメージを与えていきます。そして戦う前には、空手家らしく一礼をしなければいけません。礼をせずに戦いに挑むと、敵の難易度が上がってしまい、クリアすることが一気に難しくなってしまいます。しかし、「一礼する」という動作について、説明書にはいっさい書かれていません。

 当然のように、多くのプレイヤーは何も知らない状態でゲームを始め、最初の戦いでクリアを諦めることになってしまいます。戦い始める寸前に敵も一礼するので、そこで気付けるチャンスはありますが、そこから「バトル前に一礼する」という発想にたどり着くのは難しいのではないでしょうか。

 ほかにも、移動中に攻撃を受けると即死、通過した瞬間に落下する柵に当たって即死など、至る場面で「初見殺し」の設定が登場します。罠の柵に至っては、通り抜けるために細かな操作が求められるため、自力で突破できた人がいたのかどうか疑ってしまうレベルです。

 子供時代に遊んでいた人からは、「確かに初見殺しの連続だったけど、クリアした時の達成感は半端なかった」「容赦のない難易度な分、十分にやり込めた気がする」「アクマ将軍を倒せたのはうれしかった」といった声も見られます。難しいなりに、ゲームを楽しめたプレイヤーは少なくなかったようです。

(LUIS FIELD)

【画像】え…? これが「最弱」と名高い、ファミコンソフトの主人公たちです(6枚)

画像ギャラリー