電子コミックをさらに盛り上げる仕組みとは? 大手サイト「コミックシーモア」に聞く
近年、年代性別を問わず多くの人に利用されている電子コミックサービスは大きく成長しています。月間利用者数1500万人以上、配信コンテンツ64万冊以上を誇る大手サイト「コミックシーモア」では、作品の見せ方に対する工夫や、出版社と読者がネクストブレイク作をつくる取り組みも進めています。
多様なニーズ・環境に対応する「売り方」「見せ方」
設立から15周年を迎えるマンガ・電子書籍サイト「コミックシーモア」は、ガラケー時代のケータイコミック配信から発展し続け、現在では月間利用者数1500万人を突破。電子コミック開拓期から、変化の激しい時代を乗り越えてきた同サイトの強みには、魅力的なオリジナル作品やマンガへの「入り口」の多様さに加え、「手に取りやすさ」の工夫もありました。
「コミックシーモア」のサイトで電子コミックを検索すると、同じ作品でも「分冊版」「特装版」が出てきます。この違いについて、担当者は次のように話します。
「分冊版は単話での配信です。それがまとまると電子単行本である特装版を配信します。紙の出版社様から書籍化のお声がけをいただければ出版化を進めます。これまでに100作以上は書籍化されました」(キム編集長)
「単話はいち早く新しい作品を読みたい方のニーズに応じるもので、特装版はまとめて一気に読みたい方向けですね。お客様の目に触れる機会が触えるので、両方とも展開しています」(サイト運営・延澤さん)
出版社によっては、分冊版をマイクロコミックス、特装版を合本版と呼ぶことも。また、分冊版では価格も165円〜など、単行本1冊を買うよりも安く読むことができます。電子書籍によってライトユーザーが増えた現在、いきなり500円〜700円を支払うよりも、作品を手にとるハードルが低いといえます。
また、オリジナルコミックを展開する場合は、「見せ方」にも注意を払っているそうです。
「オリジナル作品をつくる時には、タイトル、紹介文、サムネイル(表紙)には一番気を使っています。紙の本は大きさが決まっていますが、電子コミックはPC、タブレット、スマートフォンとデバイスによって本の大きさが異なります。どの大きさで見てもアピールポイントがわかるよう、情報を整理しなければなりません」(キム編集長)
ひと目で興味を引くために行う情報整理について、具体的にはデザインとタイトルの両方で取り組んでいると担当者はいいます。