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声優・本多知恵子さんの旅立ちから7年 『赤い光弾ジリオン』で聴いた本物の「声」

受け入れたくなかった訃報

筆者所有のレーザーディスク『赤い光弾ジリオン』ジャケットイラストはエイミ
筆者所有のレーザーディスク『赤い光弾ジリオン』ジャケットイラストはエイミ

 ジリオンで声優にハマった筆者は、その後、アニメを観ると必ずエンディングテロップを確認するようになりました。そうして次に本多さんを見つけたのは、再放送で見ていた『機動戦士ガンダムZZ』のエルピー・プルとプルツーでした。天真爛漫なプルと、戦闘マシーンとして冷酷なセッティングを施されたプルツーを、同じ声なのにわずかにトーンや抑揚を変えて別のキャラクターとして演じ分けていた演技力に、改めて声優の凄さを思い知らされました。

 それからも『燃える!お兄さん』の国宝雪絵や『キテレツ大百科』の野々花みよ子などのヒロイン級のキャラクターを演じながら、さまざまな作品にちょこちょこ顔を出していた本多さんの存在を強烈に感じたのが、『機動新世紀ガンダムX』のエニル・エルです。凄腕のモビルスーツ乗りで、主人公のガロードが売りに出したガンダムXを購入した上に誘惑しますが、フラれて逆恨みでガロードを殺そうとする今でいうヤンデレ系のキャラクターです。

 しばらく姿を消していたと思ったら全然関係ないキャラクターと結婚しそうになっていたり、裏切ったり裏切られたりを経て最終的には味方になり、ガンダムエアマスターのパイロット、ウィッツとくっついています。ガンダムの本多さんと言えば少女であるプルの印象が強かったので、大人の女性としてのエニルを作中のさまざまな局面で表現しきっていたのが、さすがは本多さんだと感服したのを覚えています。

 それからもことあるごとに本多さんの声を聴き続けていた筆者にとって、突然の訃報は受け入れがたいものでした。死因は多発性がんで、発見されたときにはもう手遅れの状態だったそうです。それでも体が動かなくなるまで仕事を続け、亡くなる3週間ほど前に収録したTVのナレーションが、最後の仕事となりました。

 ついこの間まで名前が出ていたはずなのに、声を聴いていたはずなのに、もうこの世にいない。自分の青春が消えていく喪失感は何度も経験していることではありますが、本多さんはまだ49歳だったのです。あまりにも早すぎる死でした。

 本多さんが残した足跡は膨大で、2017年にはTBSのバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』にて「ひとりで最も多くの役柄を演じた声優」として、過去に演じた365役が紹介されました。もしご存命であれば、今頃400でも500でも、もっと記録を伸ばしていたでしょう。

 一度だけ拝見した生身の本多さんは小さな体でかわいらしく、それでいて目に力のある方でした。改めてご冥福をお祈り申し上げます。

(ライター 早川清一朗)

【画像】本多知恵子さんが命を吹き込んだキャラクターたち

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