「知ってた人挙手!」ドラクエやFFに埋もれた…独自の面白さがあったファミコンRPG
ゲームの人気ジャンルのひとつである「RPG」は、ファミコンの時代も数多くのタイトルが登場しました。RPGには「ドラクエ」や「FF」といった人気シリーズが誕生し、独自の面白さがあったにもかかわらず、埋もれてしまったタイトルがありました。
斬新な設定やシステムなのに…タイミングが惜しかったRPG
1983年に発売された「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)には、さまざまなソフトが生まれました。いまもなお人気ジャンルである「RPG」も多数のソフトが発売されています。ただ、「ファミコンのRPG」というと、やはり「ドラゴンクエスト」(以下、ドラクエ)や「ファイナルファンタジー」(以下、FF)シリーズを思い浮かべる人が多いでしょう。
1986年に初代『ドラゴンクエスト』、1987年に初代『FF』が登場し、1987年から1990年までに「ドラクエ」は「IV」、「FF」は「III」まで発売されました。どうしても、この人気シリーズに注目してしまいがちですが、ほかにも、プレイヤーをうならせたRPGは確かに存在しました。同年代に発売された「ドラクエ」や「FF」に埋もれてしまったものの、独自の面白さがあったファミコンのRPGを振り返ります。
●操作するのは魔物『ラストハルマゲドン』
「ドラクエ」や「FF」といった定番RPGの物語といえば、人間が悪の存在である敵を倒すという流れがほとんどですが、1990年にユタカから発売された『ラストハルマゲドン』は違います。
操作するパーティーは、人類が滅亡した後に現れた「魔物」で、相対する敵は、地球侵略を企てている「エイリアン」です。映画『エイリアンVS.プレデター』や『モンスターVSエイリアン』を彷彿(ほうふつ)とさせるような設定で、明らかに敵に見えるビジュアルの魔物たちを育てていくのは、プレイヤーにとっては新鮮でした。
操作する魔物は「ゴブリン」や「サイクロプス」といった12体です。ゲーム中では魔物が行動することによって時間が進みます。昼、夜、月に1度訪れる「サルバンの破砕日」の3つに分けられる「時間」に、魔物たちをパーティーとして編成し、割り当てます。昼と夜のパーティーは鍛えやすいのですが、サルバンの破砕日になる頻度は昼、夜と比べると圧倒的に少ないので、一気にレベル上げをできないのが難しいところでした。
さらに、プレイヤーにワクワク感を与えた要素といえば、「魔物の進化」でしょう。特定のレベルまで達すると、魔物はほかの魔物の細胞と融合してグレードアップします。進化するたびに、おどろおどろしい姿になっていくのも同作の特徴でした。
実際に遊んだことがあるプレイヤーからは、「斬新なシナリオ、時間の概念、昼夜で操作できるモンスターの種族が異なる独自のシステムなど、当時は驚かされた異色のRPG」「PC版よりもファミコン版の方が劣るけど、熱中できる面白さがあった」「とにかくラストが衝撃」などの声があがっていました。
●パラメータがユニークな和風RPG『里見八犬伝』
1989年にSNKから発売された『里見八犬伝』は、江戸時代に生まれた小説『南総里見八犬伝』の物語をベースにしたRPGです。主人公の「犬塚信乃」を操作しながら日本全国を巡って、犬塚と同じく特別な玉を持つ仲間を探し出し、人びとを苦しめる妖怪を倒すという物語です。ファンタジー要素の強い「ドラクエ」や「FF」とは違って日本を舞台で、敵が妖怪であることから「和風RPG」とも呼ばれています。
ゲームフローは基本的に「ドラクエ」のようなコマンド方式ですが、至る部分に特殊なシステムが散りばめられているところが特徴です。例えばパーティーの強さを決めるステータスは、レベルを上げた際に与えられる「修業値」をプレイヤーが配分することにより上げられます。もし攻撃だけに特化したいのであれば、ひたすら「こうげき力」を上げることも可能です。また、レベルアップ時の「たいりょく(HP)」や「ようりき(MP)」は、ルーレット方式で加算される仕組みでした。
面白いのが、ステータスのひとつである「りょうしん」です。これは悪い妖怪を倒すことで上がるもので、数値が0以上であれば「善の心」と判断されますが、もし善の妖怪を倒すと、この数値が下がり、「-1以下」なら悪の心とみなされます。悪の心の状態になると、村人から「ここからでていけ!」「あんたたちとはなしをするきは、ないね」などいわれてしまい、いっさい会話ができない状態になります。
しかも、善と悪の妖怪は見た目から区別できないため、気付かずに善の妖怪を倒してしまい、村人から無視されたプレイヤーも多かったことでしょう。