ディスクシステムと同時発売『ゼルダの伝説』 子供に立ちはだかった「価格」の壁
1986年2月21日に発売されたファミリーコンピュータ版『ゼルダの伝説』は、ディスクシステム本体と同時発売され、人気作となりました。その後、任天堂の顔にまで成長した『ゼルダの伝説』シリーズ第一作の記憶を語ります。
ディスクシステムが買えなかった子供がとった手段とは?

1986年2月21日に発売されたファミリーコンピュータ版『ゼルダの伝説』は、ディスクシステム本体と同時発売され、人気作となりました。2019年にはNintendo Switch版『ゼルダの伝説 夢をみる島』も発売されるなど、任天堂を代表するシリーズとなった『ゼルダの伝説』シリーズ第一作の記憶を、ライターの早川清一朗さんが語ります。
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「下手くそ~」
タレントの所ジョージさんが登場したTVCMで、『ゼルダの伝説』の主人公であるリンクがやられてしまい、画面のなかからこんな言葉を投げかけてきたのを覚えています。今となってはゲームのキャラクターがしゃべるのは当たり前のことですが、当時としては画期的で、大きな衝撃を受けたのを覚えています。
これが筆者と『ゼルダの伝説』の出会いでした。
『ゼルダの伝説』はフィールドアクション形式のRPGで、現在は任天堂株式会社代表取締役フェローを務める宮本茂氏がプロデューサーを務めており、氏の初期の代表作ともなっています。
さて、CMを見て当然『ゼルダの伝説』が欲しくなった筆者でしたが、ディスクシステムの15000円という値段の壁が立ちはだかります。
ディスクシステムはクイックディスクと呼ばれる黄色や青のディスクを読み取るための装置で、「やればやるほど、ディスクシステム」というキャッチコピーと共に、バンバンCMが放送されていました。同時発売の『ゼルダの伝説』と共に当然欲しくなりましたが、15000円という値段は、子供のお年玉では足りませんでした。
おねだりにも失敗してしまった筆者は、泣く泣くディスクシステムと『ゼルダの伝説』を見送ることにしたのです。
それでもどうしても『ゼルダの伝説』が欲しかった筆者は、ある物に手を出してしまいます。そう、攻略本です。
今となっては想像もつかないかもしれませんが、当時の子供たちは欲しいカセット(この場合はディスク)を買えない場合、攻略本を買ってひたすら読み込み、ゲームをやったつもりになることも多かったのです。攻略本も今ほど高価ではなく子供のお小遣いでも買えたので、 似たようなことをしていた子供はたくさんいたと思います。