「スパロボ」を色々な意味で変えた「規格外のヤツら」 どうゲームに落とし込んだのか
おなじみ「スパロボ」シリーズには、本来の作品世界を再現するがあまりに、とんでもないバッドエンドとなるものもありました。ほかのスーパーロボットまで巻き込んだ「規格外な」作品を振り返ってみましょう。
調子に乗って暴走させてばかりいると見る羽目になる「バッドエンド」
![「スパロボ」参戦は『F』から。個別のエンドも設けられた。画像は「METAL BUILD エヴァンゲリオン初号機 [EVA2020]」(BANDAI SPIRITS) (C)カラー](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2024/06/240617-srw-01-300x300.jpg)
バンダイナムコエンターテインメントが展開する「スパロボ」こと「スーパーロボット大戦」シリーズは、さまざまな作品のロボットたちが共演するゲームで、30年以上の歴史を重ねています。これまでに274作品が参戦(2021年6月現在、IPライセンス数)し、それら作品のロボットが登場してきました。
登場するロボットが多いということは、ゲームとしてバランスを取るのが難しいといえるでしょう。それは各作品の特徴ともいえる能力を、ゲームでどういった形にするかによって内容に大きく影響するからです。
そのような「スパロボ」のなかで、世界観の独自さゆえに本来のエンディングとは別に、独自のエンディングへと導く作品がありました。いわば「スパロボ」に独自ルールを追加させた作品群です。
そのひとつが、おなじみ『新世紀エヴァンゲリオン』です。初参戦は『スーパーロボット大戦F』(1997年9月25日発売)でした。当時は劇場版『Air/まごころを、君に』の公開直後ということもあり、ブームの真っ最中だったといえるでしょう。
スパロボ参戦が公式発表された際、ファンからは期待と不安の声が多く寄せられました。それが主人公機「EVA初号機」の持つ特異な能力をどうやって表現するのかという点と、EVAはロボットか否かという論争です
原典のアニメ設定では「汎用人型決戦兵器」と呼ばれていますが、EVAは機械によって作られたロボットではなく人造人間でした。それゆえに、純粋なロボットではないEVAの参戦に異を唱える人もいたわけです。ある意味、スパロボ最初の「参戦基準が問題となった作品」でした。
もっとも、その後の参戦作品を見ればわかりますが、意志を持った等身大のロボや、強化服を着た人間、戦艦のみの参戦と、あきらかに本来想定していた巨大ロボでないものが登場するようになっています。そういった意味で『新世紀エヴァンゲリオン』の参戦が、その後の作品参戦の間口を広げたといえるかもしれません。
この『新世紀エヴァンゲリオン』が参戦することで、「スパロボ」シリーズに独自の新システムが導入されました。そのひとつは「アンビリカルケーブル」です。EVA各機に備わった電力供給用のケーブルで、これにより第3新東京市にある電源供給ビルか母艦から10マス以内にしか展開できない、というデメリットがありました。
もちろん切断することはできるものの、再接続しないとEN(エネルギー)が急速に減っていきます。逆に接続状態なら毎ターンENが全回復しました。「スパロボ」でEVAが使いづらいといわれる要因のひとつです。
この反対に、大きなメリットが「A.T.フィールド」でした。4000までダメージを無効化できる能力は、「Iフィールド」や「オーラバリア」といったビーム耐性くらいしか防御特性がなかった当時の「スパロボ」としては破格の性能です。
そして初号機のみに備わった能力が「暴走」で、敵の攻撃などで撃墜されるとこの状態になりました。暴走状態になると「スパロボ」では「第3軍NPC(ノンプレイヤーキャラ)」になり、敵味方かまわず攻撃を仕掛けてくることになります。さらにマップ終了時には修理費も取られました。
これをうまく利用してマップクリアする人もいましたが、この暴走回数が次回作となる『スーパーロボット大戦F完結編』(1998年4月23日発売)で、バッドエンド確定の通称「エヴァエンドルート」へと進むフラグになっています。これは「スパロボ」本来のエンディングへたどり着けない、いわば「スパロボ」に新たなエンディングを追加したことになります。
もっとも、この『F完結編』には3つのバッドエンドが存在しました。