「イメージしてたキャストは辞退」 主人公の「イケメン化」に賛否あった実写化作品
マンガやアニメが実写化される際は、ファンからの厳しい目はつきものです。特に作品が人気であればあるほど、実写化に対してのハードルは高くなっていきます。なかには主人公が原作よりも「イケメン」になったと、賛否の声が出た実写版もありました。
誰もが知っているキャラの注目のキャスティングは成功? 失敗?
人気アニメやマンガが実写化されると、特に主人公のキャスティングには注目が集まります。なかには、原作イメージより「イケメンになってない?」と、賛否の声があがる作品もありました。ファンがイメージしていたキャストと違う俳優が起用されたこともありましたが、それにも事情があったようです。
●『こちら葛飾区亀有公園前派出所』両津勘吉:香取慎吾
「週刊少年ジャンプ」にて40年間連載され、絶大な知名度を誇るマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(著:秋本治)は、2009年にTBSにて当時SMAPのメンバーだった香取慎吾さん主演で実写ドラマ化され、2011年には劇場版も公開されています。香取さんは本作のOPとEDの曲も両さんとして担当し、若年層を中心に曲が認知され、話題となりました。
ただ、やはり両さんの原作イメージが強すぎたのか、放送当時から「両さんにしては男前で、少し若すぎない?」「あんな足が長くてスタイルのいいイケメンな両津勘吉はいない」と、否定的な意見も散見されます。
それもあってか、本作の視聴率はそこまで高い数字とはなりませんでした。加えて、ストーリー展開が原作に忠実すぎるがゆえに、オチが予想できてしまったことも、低視聴率の要因として考えられます。
一方で、「少し両津感は薄いけど、これはこれでアリだった」「不器用だけど人情に厚い両さんを見事に演じていた」と好評な意見も見られました。
両津役に関しては当時、「TVアニメや舞台でも両さん役を担当したラサール石井さんがいいのでは?」という声も聞かれました。そのラサールさんは2009年6月18日の公式ブログにて、原作者の秋本先生からドラマ主演のオファーがあったことを明かしつつ、ゴールデンタイムでの主演という責任、年齢やスケジュール調整などが難しいことを理由に断ったことを明かしています。その代わりに、ラサールさんは両津の父親である「銀次」役として出演していました。
●『死役所』シ村:松岡昌宏
あずみきし先生原作のマンガ『死役所』は、あらゆる理由で死んだ人が最後にたどり着く「死の手続きをする場所」が舞台の作品で、2019年にテレビ東京にて実写ドラマ化されました。
同作は日々事情を抱えながらも死亡した人たちが、自分の死因に関する担当課(自殺課、他殺課など)を訪れ、書類を記入し成仏へと向かうというストーリーです。死者が無事に成仏するためには、書類に詳しい死因を書く必要があり、各話、死んでしまった人が自分の人生について向き合う姿が描かれます。
本作の主人公は「シ村」という男で、笑顔を絶やさず、時に相手の心情を察しない無機質な対応を取るキャラクターです。原作のシ村は、どこにでもいそうな男で特にこれといった特徴のない風体をしていましたが、ドラマではシ村をTOKIOの松岡昌宏さんが担当しています。
「男らしい」イメージのある松岡さんと、シ村役とのギャップに驚いた人もいたのではないでしょうか。松岡さんはシ村の独特な雰囲気や柔和な話し方などを再現し、当時話題となりました。
ネット上では、「笑い方が不気味で原作のシ村の特徴をちゃんと捉えていた」「心情が読めないミステリアスな雰囲気が出ていてよかった」などといった声があがり、松岡さんの演技力に魅了された人も多かったようです。
とはいえ、やはりビジュアルがイケメンすぎることもあってか「顔が整いすぎてシ村の素朴な感じが消えてた」「もっと最適な俳優さんがいた気がする」と批判的な声もあり、実写化の難しさが垣間見えました。