「激ムズだけどハマる!」 ファミコンからPS5まで「死にゲー」の名作たち
高難易度と面白さを両立させるのは、簡単な話ではありません。しかし、難しいのについ遊びたくなる……そんなゲームがあるのも事実です。「覚えゲー」「死にゲー」と呼ばれた作品を、ファミコン時代から現代まで3タイトルを振り返ります。
同じ「死にゲー」でも魅力はさまざま
2009年に発売されたPlayStation 3ソフト『Demon’s Souls(デモンズソウル)』をきっかけに、「死にゲー」という言葉が広まり、同作をリスペクトする作品が続々と登場しました。
「死にゲー」の明確な定義はないものの、「死んで覚える(=難易度が高い)」「知らなかったらまず死ぬ、初見殺しがある」「死が避けられない」などの傾向を持つゲームを指す場合が多く、「覚えゲー」と近い意味で使われることもあります。
最近よく使われる「死にゲー」に当てはまるゲームは、昔も今も数多く存在します。難しさに面白さを宿した「死にゲー」は、万人向けでこそありませんが忘れがたいものです。そんな「死にゲー」を、メジャーな作品からコアなタイトルまで3本厳選して振り返ります。激ムズなのに、何がプレイヤーを魅了しているのでしょうか。
●アーケード版よりも難易度上昇!「家でも遊び放題」の夢を叶えた『魔界村』
ファミコン時代の高難易度アクションといえば、『魔界村』を外すわけにはいきません。その難易度の高さゆえ、「死んで覚える」を繰り返し、ようやく先に進めるという2Dアクションゲームでした。
『魔界村』はもともとアーケード向けに展開した作品で、ファミコン版はいわゆる移植にあたります。当時のアーケードゲームを移植するにはファミコンの性能は物足りず、この『魔界村』も忠実な移植とはいえず、キャラクターの動きやBGMなどが劣化してしまいました。
しかも劣化の影響から、アーケード版で使われていたテクニックが通用しなくなり、元々高かった難易度がさらに上昇してしまいます。その結果、ファミコン版の1面中盤に出てくる難敵「レッドアリーマー」すら倒せず、クリアを諦めたファミコンキッズもいたほどです。
こうした点だけ見ると、ファミコン版『魔界村』は問題作のように思われるかもしれません。しかし当時のアーケードからの移植作は、基本的に劣化から逃れられません。なかには、ビジュアルをコミカルに一変させた『スプラッターハウス わんぱくグラフィティ』や、ゲームシステムがほぼ別物になった『源平討魔伝』など、予想を超える移植作も多数ありました。
完全移植はほぼ不可能で、いかに再現に努めるかがファミコン時代における移植ゲームの命題でした。その背景を踏まえて考えると、気になる問題点こそあるものの、『魔界村』が家で好きなだけ遊べるファミコン版は、十分に意義のある存在といえるでしょう。
ファミコンとソフトがあれば、いくらやられてもやり直せるファミコン版『魔界村』は、「いつでも、いつまでも遊びたい」という当時のゲームファンの夢を、やや問題はありつつも叶えてくれた作品だったのです。
また、ファミコン版の『魔界村』は、その難易度の高さが一部プレイヤーのやる気に火を点け、越えがたい壁を超える「死にゲー」の醍醐味をたっぷりと味わわせてくれました。例えば手ごわくなってしまった「レッドアリーマー」も、倒しやすい動きに誘導するテクニックなどが見つかり、トライ&エラーの手本のようなプレイ体験を提供してくれます。
相当難しいゲームなのは確かですが、ファミコン版『魔界村』は「死んで覚える」の元祖的なゲームとして、語られるに足る存在です。