クレジットカード業界の表現規制はナゼ? 「R18作品締め出し」の先にある「危険な兆候」
近年、海外のクレジットカード会社が成人向けコンテンツの決済を停止しつつあります。現状では「一時利用停止」の扱いとなっているところも多いのですが、事実上利用を諦め、日本国内で運営されているJCBへの切り替えを進める業者も増えています。なぜこのような状況になっているのでしょうか? ほかの業界への波及はあるのでしょうか?
海外系クレジットカードの決済停止があいつぐ
近年、海外のクレジットカード会社が成人向けコンテンツの決済を停止しつつあります。現状では「一時利用停止」の扱いとなっているところも多いのですが、事実上利用を諦め、日本国内で運営されている「JCB」への切り替えを進める業者も増えています。なぜこのような状況になっているのでしょうか? ほかの業界への波及はあるのでしょうか?
2024年4月3日、日本国内最大級の二次元コンテンツダウンロードサイト「DLsite」から、翌4日18:30以降は「Visa」及び「Mastercard」での決済ができなくなると発表されました。4日には「American Express」の利用も一時停止されると追加発表され、使用できるクレカは事実上JCBのみとなりました。
日本で発表されるコンテンツは国外で高い評価を受けることも多く、「DLsite」で取り扱われている作品も例外ではありません。事実、X(旧:Twitter)では「決済一時停止後に売り上げが激減した」と訴えるポストを目にする機会も多く、影響は深刻さを増しつつあります。
また、株式会社ドワンゴが運営する「ニコニコ」では昨年2023年12月にMastercardを一時停止、今年3月8日にはAmerican Expressに対しても同様の措置がとられると発表しています。2022年には合同会社DMM.comがMastercardを決済手段から外しており、2024年6月にはDMM系の株式会社デジタルコマースが運営する「FANZA同人」でVisaの使用が一時停止されました。
なぜ、日本国内の各サービスは、海外系クレジットカード決済の一時停止を迫られたのでしょうか。その理由と思われるのが、2022年7月に米カリフォルニア州中部地区連邦地方裁判所で行われた裁判の結果です。国際的な大手アダルトサイト「Pornhub」に児童ポルノが投稿され問題となった案件で、裁判では被害者への救済を行なう共同被告としてVisaが巻き込まれてしまったのです。
もちろんVisaも抗弁しましたが、カリフォルニア州の判事がVisaも児童ポルノ問題に加担したと認定してしまったのです。