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『ガンダム』MSの名前はどのように決めていた? 「ザクの由来」と「エルメスの問題」

「商標」で明暗? 「エルメス」と「サザビー」

商品名はワケあり。「1/550 MAN-08 ララァ・スン専用モビルアーマー」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
商品名はワケあり。「1/550 MAN-08 ララァ・スン専用モビルアーマー」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

 そうした、MSのネーミングを語るうえで、モビルアーマー「エルメス」の存在は外せません。

 エルメスは、「ガンダム」シリーズの最重要人物のひとり「ララァ・スン」が搭乗した機体で、ガンプラとしても発売されました。しかし「エルメス」という名前はご存知のとおり、フランスの高級ブランドの名前でもあります。そしてある時期からガンプラのエルメスは、「ララァスン専用モビルアーマー」という商品名に変更されました。大人であれば「まぁそうなるよね」と、誰しも納得したことでしょう。

 かと思えば、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、シャア専用機に「サザビー」とネーミングしていました。こちらも当時、存在した日本のバッグブランド(2021年に事業終了)や、美術品のオークションで知られる会社名と丸かぶりのように見えます。

「エルメス」の件で懲りていないのかと思いきや、実は、いわゆるおもちゃ類に関する商標登録は、バッグブランド、オークション会社、いずれにもないようなのです。「エルメス」の場合、1968年に「おもちゃ,人形,娯楽用品」の分野ですでに登録されていたため、プラモデルの商品名は変更せざるを得なかったわけで、「サザビー」にはそれがありません。かくてシャア専用MS「サザビー」は「サザビー」のまま、ガンプラとして商品展開されているのです。

 なおこのサザビー、もともとは「ザ・ナック」という名前だったようで、その痕跡が絵コンテに見られます。それが商標の関係で変更になったといい、そうであるなら、結果的に大丈夫だったとはいえ、なぜ「サザビー」という余計にややこしくなりそうなネーミングにしたのかは疑問です。事実、過去にはバッグブランド(を展開していた会社)とオークション会社のあいだで、商標をめぐり争われたこともありました。

 富野監督はじめスタッフは、やはり、さほど懲りてはいなかったと見るべきなのでしょうか。

(LUIS FIELD)

【画像】こちらがまさかのプラモ化を果たした伝説の「作画崩壊ザク」です(11枚)

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