マグミクス | manga * anime * game

『ガンダム』ドアンのザクは投棄してよかったの? 実はこれがGJだったといえるワケ

TVアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」終盤で、アムロはドアンのザクを海に放り捨てました。「何してんだアムロ!」と思える行動ながら、当のドアンはこれに納得の様子です。実はこれ、本当にGJでした。

本当にザクIIの投棄は正しい行動だったのか

アニメ第15話をモチーフとした映画版『ククルス・ドアンの島』は、内容や設定が異なり本考察は当てはまらない。画像は同作ポスタービジュアル (C)創通・サンライズ
アニメ第15話をモチーフとした映画版『ククルス・ドアンの島』は、内容や設定が異なり本考察は当てはまらない。画像は同作ポスタービジュアル (C)創通・サンライズ

 TVアニメ『機動戦士ガンダム』の第15話に登場した「ククルス・ドアン」というジオン軍の脱走兵のことを覚えているでしょうか。2022年に、この第15話のエピソードをモチーフにしたアニメ映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が公開されたことで、記憶に新しい人もいることでしょう。

 その映画版もTV版も共通して、ドアンの「ザクII」はアムロによって海へ投棄され、そして物語は幕となります。しかしアレって、本当に投げ捨ててしまってよかったのでしょうか。

 簡単に第15話「ククルス・ドアンの島」を振り返ると、主人公の「アムロ・レイ」はある島で、少女の「ロラン」および3人の子供たちと一緒に暮らしているジオン軍の脱走兵「ドアン」に遭遇、そこへジオン軍が襲来し、ドアンの戦いを目の当たりにする、というお話でした。

 地球連邦軍のアムロと元ジオン軍のドアンが心を通わせる場面や「ザクII」同士の戦いは、個人的にも強く印象に残っています。

 しかし、当時この第15話を視聴した後に、ひとつだけ疑問の残ったシーンが、上述したザクIIの海洋投棄です。終盤でアムロは、ジオン軍の追っ手を危惧するドアンに対し、「あなたの体に染みついている戦いの臭いが追跡者を引きつける」「それを消させてください」といい、自身が操縦する「ガンダム」で彼のザクIIを海へ放り投げたのでした。

 物語においては、ドアンはアムロを責めることなく、子供たちに「あのお兄ちゃんがやったことはとても良いこと」と伝えていることから、ドアン自身も納得の顛末だったことがうかがえます。しかし、ここで「またジオン軍の追っ手がやってきたらどうするの?」と危惧した視聴者は、筆者だけではないでしょう。

 果たして、アムロの取った行動は正しかったと言えるのでしょうか。

 第15話における状況を整頓してみましょう。アムロはドアンたちがいる島にやってきた時、ドアンのザクIIを見て「ここはジオンが完全に制圧しているところじゃないはず」と発言しています。

 また、物語冒頭でガンダムの空中ドッキング訓練を行っていたアムロが、連邦機の救難信号に対応するため、そのままコアファイター単機で島へ向かうという一連のシーンには、「ホワイトベース」のブリッジを含め、敵を警戒した様子は感じられませんでした。よって島周辺は、ジオンの制空権下ではなかったことがうかがえます。

 そして、ドアンの「いずれジオンの連中がここを見つけ、私を攻撃してくるだろう」というセリフや、島の暮らしぶり、島の様子から察するに、ドアンに勢力圏や制空権といった全体の戦況を知る手段はないと考えるのが妥当です。またこのセリフは、そうした情勢を知らないがゆえの、ジオンの追手を警戒してのセリフと理解することができるでしょう。

【画像】こちらがまさかのプラモ化を果たした伝説の「作画崩壊ザク」です(11枚)

画像ギャラリー

1 2