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おおらかな時代だから許された? 昭和マンガに登場した「ファミコン」のトンデモ設定

家庭用ゲーム機として広く普及した「ファミコン」は一大ブームとなり、その勢いはマンガ作品にも及びました。実在するファミコンソフトが作中に描かれ、さらに知られざるステージやワザが披露され、多くの子供たちを魅了しました。

常軌を逸したゲームの必殺技や特訓!

必殺技がトンデモだった! 『ゲームセンターあらし』第1巻(小学館)
必殺技がトンデモだった! 『ゲームセンターあらし』第1巻(小学館)

「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)は1983年に発売され、家庭用ゲーム機として広く普及しました。社会的な大ブームになるほど盛り上がりを見せたファミコンは、マンガ作品にも進出しています。子供たちの関心を引くために、作中にファミコンや実在するソフトが登場することは珍しくなく、主人公が人間離れのワザでゲーム対決を制するというのが定番の流れでした。

 ファミコンが登場する有名な作品といえば、1979年から1983年まで「月刊コロコロコミック」(小学館)にて連載された、元祖ゲーム攻略マンガ『ゲームセンターあらし』(作:すがやみつる)は外せないでしょう。主人公「石野あらし」はインベーダーキャップや出っ歯がトレードマークの少年です。天性のゲームの才能があり、次々と登場する強敵と対戦しては勝利します。

 ファミコンが発売する前の連載だったため、作中で描かれたのは主にアーケードゲームでした。例えば『スペースインベーダー』や『ムーンクレスタ』、『平安京エイリアン』などが挙げられます。ほかにも、ファミコンでもおなじみの『パックマン』や『ドンキーコング』も登場しました。実在するゲームの登場に、興奮した子供たちも多かったことでしょう。

 見どころは、あらしの必殺技です。ゲームの操作でありながら、アクロバットな動きが多いのが特徴です。例えば「月面宙返り」は空中で回転しながらゲーム機のレバーを操作します。「エレクトリックサンダー」という、手のひらをこすり合わせて電気を起こし、ゲーム機を狂わせるという人間の域を超えた必殺技もあります。バトルマンガであり、次から次へと現れる強敵を乗り越えるために、新たに生み出した必殺技を繰り出すのも同作の魅力でした。

 回を増すごとに、あらしが戦う相手のスケールが大きくなっていき、最終巻では巨大な「キンチャンコング」、太陽を覆った火山灰、そして、最終話で知能を得た恐竜と対峙します。最終話においては、未来人を助けるために、恐竜とインベーダーでのバトルを繰り広げました。結果的に勝利を収めて、未来人とともにゲームを通して真の平和と友情を伝えるため宇宙に旅立つという、壮大なラストで幕を閉じるのでした。

 ほかには、1985年発売のファミコン用レースゲーム『マッハライダー』が登場した『ブラボー! ぼくのファミコン』(作:うえやまとち)という作品もあります。同作は「月刊少年マガジン」(講談社)1986年2月号に、読み切りとして掲載されました。

 ストーリーは王道の展開で、『マッハライダー』に出会った主人公が特訓をし、ライバルとの対戦に勝利するという流れです。特徴的だったのは、その特訓方法です。主人公はゲームプレイ中の操作の精度を上げるため、ファミコンのコントローラーの下に「イクラ」をしきつめ、つぶさないで操作できるようにするという常軌を逸した特訓をしていたのです。作者のうえやまとち先生は料理マンガ『クッキングパパ』も手がけているので、食べ物から着想を得たのでしょうか。

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