「過激だけど必要な描写」 攻めすぎてるけど面白い「R指定」マンガ実写化映画
人気マンガのなかには、性描写やグロシーンなど刺激的な要素が見どころの作品も多くあります。そのような作品が実写化される場合、どのくらい原作に忠実に再現されるのか注目されます。高い再現度が評価されたR指定の実写化映画には、どのような作品があるのでしょうか。
男性同士の激しい性愛描写は「BL作品の限界を超えた」

マンガ作品のなかには、性的描写やグロテスクな描写など、衝撃的なシーンが多く、それが作品の見どころにもなっている場合もあります。そういった作品は、実写映画化されると、映像倫理機構(映倫)からR指定を受ける場合も多く、その再現度や面白さが話題となってきました。
●『性の劇薬』(R18+)
累計販売数100万ダウンロードを超える人気の、BL電子コミック『性の劇薬』(著:水田ゆき)は2020年に実写映画化され、男性同士の激しい性愛描写や暴力表現が原作どおりに再現され話題になりました。
本作は、家族を失った絶望から飛び降り自殺を図ったエリートサラリーマン「桂木誠(演:渡邊将)」が、彼の命を救った謎の男「余田(よでん、演:北代高士)」に監禁、調教される生活を送る物語です。「『性』によって『生』の意味を見つける」というテーマで、転落人生から監禁調教生活による苦しみや快楽を通した、主人公の「再生」が描かれました。
ピンク映画の現場で経験を積み、近年は本作だけでなく『女子高生に殺されたい』『ビリーバーズ』など多数のマンガの実写版も手掛けている城定秀夫氏が監督を務めています。舞台挨拶で、城定監督は「R18+」の映画制作では前例がなかったものの、「とことんやる」ために新人俳優を起用したことを語っていました。
原作の再現、そして容赦のない作品としてのクオリティを追求した映画『性の劇薬』には、「実写BL作品でも限界を超えた作品」「痛々しい調教シーンも原作に忠実だった」など、原作ファンから高く評価されています。また、「徐々に惹かれ合っていく心理描写も細かい」「エロいだけじゃなくて奥が深い」と、ストーリー性も話題になりました。
●『アイアムアヒーロー』(R15+)
本格的なゾンビホラーの題材を扱ったマンガの『アイアムアヒーロー』(著:花沢健吾)は、謎のウイルスの感染で「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビに化した人間と、生き残った人びととの壮絶な戦いを描いています。2016年に実写映画化されると、激しい人体破壊描写や、ZQNをリアルに再現した特殊メイクも注目を浴びました。
序盤から、主人公である漫画家アシスタントの「鈴木英雄(演:大泉洋)」の周りの人間がZQNと化していく、ショッキングなシーンが続きます。鈴木が同棲していた恋人の「てっこ(演:片瀬那奈)」がZQN化したときは、目が血走り、口を大きく開いたおぞましい表情で観客を震撼させました。
アパートの郵便受け越しに、英雄が変貌したてっこの異様な動きを見るという恐怖演出も再現され、「てっこのゾンビが一番怖い」「片瀬さんのゾンビ役がこんなハマるとは」などの声があがりました。
その後も、人びとが逃げ惑う大混乱の街中や、中盤で訪れるショッピングモールでも、恐ろしくグロテスクな描写が続きますが、そのなかで英雄は成長し、「ヒーロー」として覚醒します。大泉さんの名演も相まって、「グロくて手で顔を覆いながら観てたけど最後に泣いた」「冴えない男がなけなしの勇気で戦う姿に涙」「銃の扱い方やロッカーで葛藤する演技も素晴らしい」と、ヒューマンドラマとしても高く評価されました。
韓国ロケで再現された後半のショッピングモールの撮影や、人体破壊描写のクオリティも評判で、「ゾンビやグロへの映像表現に妥協がなくて、原作どおりで関心」「日本のゾンビ系作品のなかでは群を抜いてクオリティが高い」と、1本の映画として高く評価されました。