「救ってやれなかった」顔を触るたび、落ち込む… 些細な幸せをもたらしたのは?
漫画家のmatchさんによる描き下ろしエッセイ。肌のカサつきに悩むも、お手入れの工程に「怠惰の壁」が立ちふさがります。救ってくれたのは初めての「顔パック」でした。使って見た顔パックの感想を語ってくれました。
「顔パック」で戦艦の船員にまで思いを馳せる

漫画家のmatchさん(@ninjamatch)がTwitterで公開している、レポートマンガ『#レポっした』の出張版描き下ろしエッセイ。
肌の乾燥で落ち込んでしまったmatchさんは、初めての「顔パック」体験をしてみることに! 使ってみたパックの使用感はどうだったのでしょうか。
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こんにちは、matchです。
SNSで利用しているアイコンが忍者なので、エッセイを描くこの機会に一人称を「拙者」にしようかなと思ったのですが、キャラ作りとはいえさすがにキッツ……と思い改めたので、「私」に統一したいと思います。
まだまだ肌寒い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。唇は荒れ、肌は砂漠のように乾き、目も干物のように感想するこの季節。
日がな一日机の前に座り、人と会って会話することもなく、ただ孤独にキーボードとペンタブレットを駆使して作業をする私ですが、この度「顔パック」なるものに手を出してみました。
と言うのも、日々の変化がなさすぎるがあまり、「些細な喜びが欲しい~!」という欲が生まれてしまったのです。
なんとなく考えごとをする時、顔や首を”さすさす”しがちなのですが、触るたびに「カサ……カサ……」していると割と落ち込むことこの上なく、毎日同じ作業をする上で、メンタルに良くないのでは……と考えるようになりました。
このショックは、家で植物を育てている時に、土がひび割れ、緑がしおれて枯れ切っているのを直面した時に、「ああ……救ってやることができなかった」とうなだれる、あの悲しみを薄く引き伸ばした感覚です。自分の肌は栄養を欲しているのに、何もしてやれてないのです。これではいけません。
しかし、これまで顔にケアをしてこなかったわけではありません。お風呂上がりにはクリームを塗るなど、一般的から見れば多少よりも微量よりの絶妙なケアは施してきましたが、何せ面倒さが勝ってしまい、いつもいつも肌のハリを取り戻す前には、怠惰という壁が立ちふさがっておりました。
お肌のケアには、まず洗顔をし、その後すかさず化粧水で浸し、乳液をすりこみ、ボディクリーム、シアクリームでコーティングする。自宅で作る料理ですら、こんな大変な工程は踏まないというのに、自分自身にそれができるでしょうか。世の人たちは全工程を済ませているのに、私にはできませんでした。面倒だと思う、その気持ちでは誰にも負けません。任せて欲しい。
兎にも角にも、スキンケアに対する一番の壁は「工程が多い」ということでした。一回で済むものならともかくとして、なぜにこんな多くのことをしなければならいのか。もっといい手段があるんじゃないのか。どうなのか。
ありました。それが「顔パック」だったのです。
まずは、コンビニで売っていたものから始めてみました。
つけ始めは、貼りにくいこと山の如しでしたが、要領を得るとスムーズに装着するまでになりました。
第二次世界大戦中、戦艦に乗り組んでいた船員達は複雑な船内での移動に足を取られ、何十分もかかっていたと聞きます。しかし、練習に練習を重ね、戦闘準備を数分に縮めたそうなのです。顔パックを素早く貼れることは、その流れに似ているなと思いました。いや、同じにするな。
しかし、顔に貼っているだけで、効果が出るのかいなと甚だ疑問でしたが、数日続けているとホントに効果がありました。これがスキンケアの真骨頂なのですね。栄養で育まれた自分の肌は、さすがに卵肌になったとは言いません。
ただ、枯れた植物に水をやった。それだけなのですが、たしかに肌は生き返ったのです。こんなにうれしいことはない。些細な変化ですが、メンタルにとっては大きな一歩でした。うれし~~。
モデルさんからYouTuberまで、幅広い層の人たちが、毎日 顔パックをつける理由が分かりました。なぜなら顔がつるつるになるからです。こんな楽なことはない。うれしいことはない。
顔につけるパックは、正直なんだって大丈夫です。なにもケアしてないよ、という人にとってみたら、市場に出回っている顔パックは、すべて豊満な栄養素に他なりません。
パッケージデザインで買うもよし。クチコミで買うもよし。好きな人が使っているから選んでもよしよし。
私は肌がツルツルだ。
顔面だけだけど、それだけでうれしいです。
(match)