『仮面の忍者 赤影』が残した特撮のDNA 『麒麟がくる』で注目の織田信長も登場!
「赤影、参上!」の口上とともに颯爽と現れる『仮面の忍者 赤影』。飛騨の里からやってきたスーパー忍者・赤影は、織田信長の命を受けて怪しい妖術使いたちと戦いました。1960年代の「忍者ブーム」を牽引した『赤影』の遺伝子は、現代の特撮ドラマにもしっかりと受け継がれています。
カラフルさでは大河ドラマを上回った『仮面の忍者 赤影』
NHK大河ドラマ『麒麟がくる』では2020年3月1日(日)夜8時の放送より、いよいよ戦国時代のカリスマ武将となる織田信長(染谷将太)が登場します。主人公である明智光秀(長谷川博己)とどのような遺恨劇が繰り広げられることになるのでしょうか。そして戦国の世といえば、東映の特撮時代劇『仮面の忍者 赤影』(以下、赤影)が活躍した時代としてもおなじみです。忍者ブームを牽引した『赤影』が、後世に残した意外な影響力についてひも解いてみたいと思います。
『赤影』は関西テレビ・フジテレビ系列で、1967年~68年に放映されました。『鉄人28号』『バビル2世』『三国志』など多彩なジャンルで人気を博した漫画家・横山光輝氏が、1966年から「週刊少年サンデー」で連載をスタートした『飛騨の赤影』が原作です。テレビ放映に合わせて、原作マンガも『仮面の忍者 赤影』に改題されました。
飛騨の里からやってきた赤影(坂口祐三郎)は、超ド派手な赤い仮面を付けていました。シニア忍者の白影(牧冬吉)と少年忍者・青影(金子吉延)も一緒です。本来なら忍者は目立たないことが絶対条件なのですが、赤、白、青と色とりどりのマフラーをした3人は、戦国の世では目立ちまくっていました。細かい時代考証は気にしない、横山光輝氏原作ならではの大らかさが感じられます。大河ドラマ『麒麟がくる』は色使いがカラフルなことでも話題ですが、『赤影』の派手さにはまだまだ敵いません。
東映の社風を感じさせる、自由すぎる時代劇
全52話が放映された『赤影』は、四部構成となっていました。第一部「金目教篇」では琵琶湖周辺で怪しい新興宗教「金目教」が流行し、庶民を惑わしていました。後に豊臣秀吉となる木下藤吉郎は軍師である竹中半兵衛(里見浩太朗)に命じて、金目教の内情を探らせます。このとき竹中半兵衛によって飛騨の里から呼び出されるのが、赤影たちでした。金目教を率いる甲賀幻妖斎(天津敏)と赤影たちとの死闘が始まります。
赤影は忍者というよりは、ほとんどスーパーマンのような存在です。飛行の術により空を自在に飛び、腕から外した手甲はバズーカ砲となりました。仮面にはめ込まれた秘石からは破壊ビームも発射されます。どんな修行を積めば、こんな秘術が使えるようになるのでしょうか。
さらに白影は大凧に乗って空を舞い、「だいじょ~ぶっ」が口癖の青影は鎖分銅をぶんぶん振り回します。幻妖斎も金目教の御神体である「金目像」を巨大ロボットのように操って、応戦しました。面白ければなんでもあり。東映の社風を感じさせる、破茶滅茶さがテレビ版『赤影』の魅力でした。