人気作『宇宙刑事シャリバン』トラウマ回で視聴率が低下 「第34話」の恐怖
1983年3月4日にスタートした、『宇宙刑事ギャバン』に続く宇宙刑事シリーズ第二弾『宇宙刑事シャリバン』。本作は、科学と怪奇の要素を融合させた世界観をスタッフの熱意により見事に映像化し特撮ヒーロー番組の傑作となりましたが、第34話を境に視聴率が低下してしまいます。
人気の『宇宙刑事シャリバン』トラウマ回で視聴率が下がる事態に!

1983年3月4日、『宇宙刑事シャリバン』(以下、シャリバン)の放送が始まりました。『宇宙刑事ギャバン』に続く「宇宙刑事シリーズ」第二弾である本作は、科学と怪奇の要素を融合させた世界観をスタッフの熱意により見事に映像化し特撮ヒーロー番組の傑作となりましたが、第34話で起きたある出来事で視聴率が低下してしまいます。果たして第34話で何があったのか、当時を体験したライターの早川清一朗さんが語ります。
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『シャリバン』の本放送当時、筆者は第34話で見るのをやめてしまいました。翌週以降、母親に「シャリバン見ないの?」と聞かれても、慌てて首を横に振っていた記憶があります。
ついこの間まで、「シャリバン見る!」と言ってTVを占拠していた子供が、急に見ないと言い出したのだから、母親としてはかなり不思議だったのではないでしょうか。
筆者が『シャリバン』を見なくなった理由、それは第34話から登場した宇宙犯罪組織マドーの軍師・レイダーが発する圧倒的な恐怖におびえていたからなのです。
第34話を見たその日の夜は、悪夢にうなされました。夢に出てきたレイダーは、筆者や近所の人とその家族を大きな公園に集めて、それぞれの家族のなかで、だれかひとりを生贄に差し出せと迫ってきました。夢の結末は覚えていませんが、レイダーのインパクトはそれほど強烈だったのです。
子供といえども、特撮番組が作りものであることはわかります。画面のなかの存在は役者が演じていることも理解している、それにも関わらずレイダーが発する恐怖は、画面のなかからダイレクトに突き刺さってくる現実感がありました。
レイダーを演じていたのは安藤三男氏。『人造人間キカイダー』のプロフェッサー・ギル役や『イナズマンF』のガイゼル総統役、『秘密戦隊ゴレンジャー』で黒十字総統役、『東映版スパイダーマン』ではモンスター教授役を演じるなど、日本の特撮番組黎明期に、数々の印象的な悪役を演じてきたレジェンドです。
しかしながら『シャリバン』の時期は体調を崩していたそうで、確認できた限りでは、レイダーが最後のレギュラー出演役となりました。はっきりとした没年は分かっていません。