上上下下左右左右BA…「コナミコマンド」生みの親、故・橋本和久氏が遺した名作
2020年2月25日、「上上下下左右左右BA」こと「コナミコマンド」の生みの親であるゲームプログラマーの橋本和久氏が亡くなりました。61歳でした。ファミコン版『グラディウス』に橋本氏が実装した「コナミコマンド」はその後多くのゲームにも取り入れられ、裏技の代名詞となりました。
最も有名な裏技だった「コナミコマンド」
2020年2月25日、「上上下下左右左右BA」こと「コナミコマンド」の生みの親であるゲームプログラマーの橋本和久氏が亡くなりました。61歳でした。ファミコン版『グラディウス』に橋本氏が実装した「コナミコマンド」はその後多くのゲームにも取り入れられ、裏技の代名詞となりました。『グラディウス』以外にも『がんばれゴエモン2』『魂斗羅』『ときめきメモリアル』など、橋本氏が関わったゲームをプレイし続けてきたライターの早川清一朗さんが、追悼の想いを語ります。
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ファミコン版『グラディウス』が発売されてから、間もなく34年が経とうとしています。当時、ファミコンにはまっていた子供たちの間ではバグや隠しコマンドを利用した現象が「裏技」と呼ばれ、もてはやされており、世のなかに登場したばかりのファミコン誌の数々は読者獲得のために、毎号のように裏技特集を掲載していました。
裏技と言っても内容はさまざまで、少し変わった現象が起こるだけのものも多かったのですが、「コナミコマンド」は極めて実用性が高いものでした。
『グラディウス』は敵を倒してカプセルを集め、順々にパワーアップしていくタイプのシューティングゲーム。難易度が高い場所でやられてしまうと、カプセルを集める前に敵の猛攻を受け、いくら残機が残っていても、すぐに全滅してしまうことも多かったのです。
まだ、家庭用ゲーム機が一般家庭に普及してそれほど時間も経っておらず、攻略法をインターネットで検索することなど夢物語だった時代です。筆者が初めて『グラディウス』をプレイした時、「よく分からない内にやられてしまった」という記憶があります。プレイを重ねるに従い、少しずつゲームにも慣れパワーアップの概念を理解していきましたが、それでもやられてしまうと復活はとても大変でした。
ノーマルのビックバイパーで押し寄せる敵の大群に立ち向かうにはかなりの技量が必要です。そんなものをもたない小学生にとって、「コナミコマンド」はとてもありがたいものでした。ポーズボタンを押し、上上下下左右左右BAと入力して、オプションが出現すれば成功です。本当にどれだけ助けられ、どれほど楽しませてくれたことか。