上上下下左右左右BA…「コナミコマンド」生みの親、故・橋本和久氏が遺した名作
もともとはデバッグ用のコマンドだった!
この「コナミコマンド」はもともと、デバッグコマンドとして組み込まれたものでした。 アーケード (業務用) 版『グラディウス』をファミコンへと移植する際、難易度の高さに苦戦しているスタッフがいるのを見た橋本氏が、簡単にパワーアップできるコマンドを組み込んでくれたのです。
コマンドは製品版『グラディウス』にそのまま残され、シューティングゲームに不慣れな子供たちを救いました。またコマンドの語呂もよく覚えやすかったため、いつしか「コナミコマンド」と呼ばれるようになり、ゲーム世界の常識ともなったのです。今では橋本氏の優しさが生みだした「コナミコマンド」は世界を超え、『ギネス世界記録』に「もっともよく知られている隠しコマンド」として登録されています。
橋本氏の業績ですが、もちろん『グラディウス』や「コナミコマンド」だけではありません。 ファミコン版『がんばれゴエモン2』や『魂斗羅』でもプログラマーとして腕を振るっており、PCエンジン版『ときめきメモリアル』ではプロデューサーとして名を連ねています。
また、海外では1990年に発売されたファミコン版『T.M.N.T.』(ティーンエイジ.ミュータント.ニンジャ.タートルズ)に実装されていた「コナミコマンド」が有名なようで、橋本氏の逝去を惜しむ声が世界各地から寄せられています。
ゲームの歴史において、おそらく二度と「コナミコマンド」のような皆に必要とされ、愛され、記憶される存在は現れないでしょう。実装の当事者である橋本氏自身、おそらくここまで大きく広がるとは思っていなかったでしょうが、それでも多くのゲームに隠しコマンドとして実装され、驚きと喜び、そして快適さをもたらす存在として、ゲームの世界に確固たるポジションを獲得しています。
筆者も子供のころは、コナミのゲームだけではなく、他の会社のタイトルでもことあるごとに「コナミコマンド」を入力して、何かが起きないか期待していたことがあります。大半は何も起きなかったのですが、たまに成功して何かが起こると、とてもうれしかったのを覚えています。
素敵な思い出をありがとうございました。
(早川清一朗)