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ジムとは違う「量産型ガンダム」の系譜 悪コスパで次々と計画中止→量産化に80年!

シリーズの主役として不動の地位にある「ガンダム」と名のつくMSは、兵器である以上、大量生産しようとする動きはいつの時代にもありました。コスパの関係で難航していったガンダムの量産化を振り返りましょう。

実は一年戦争でも量産されていた「ガンダム」

初出は『第08MS小隊』、量産型とされるが少数しか存在しない。「HG 1/144 陸戦型ガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
初出は『第08MS小隊』、量産型とされるが少数しか存在しない。「HG 1/144 陸戦型ガンダム」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

『機動戦士ガンダム』の主人公機である「RX-78-2 ガンダム」、その量産型と「一般的に」いわれているのが「RGM-79 ジム」です。しかし、厳密にいえばそうではありません。

 ジムはガンダムをもとにした量産型MS(モビルスーツ)ですが、高価な機能や装備を廃し、生産コストを下げて大量生産に適するよう、デチューンした機体です。それはMSの開発で出遅れた地球連邦軍が、一刻も早くジオン公国軍のMSの数を上回るために大量生産しなければならなかったからでした。

 もっともビーム兵器が使用できるジムは、それだけで、「一年戦争」ではジオン軍のMSより優れていたともいえます。とはいえ、単体でのスペックは最低限のものとなりました。単体のスペックよりも、集団戦闘という物量でジオンの高性能なMSに戦いを挑んだわけです。

 そのためか、ジムではなく高性能なガンダム自体を量産化しようとする動きがたびたび見られました。一年戦争中にはすでにあり、具体的に「RX-79[G] 陸戦型ガンダム」となります。もっとも、この陸戦型ガンダムの量産は、RX-78ガンダムの量産断念から始まったものでした。

 RX-78は生産性を度外視した高性能機です。しかし、必要とされるパーツは使用する以上に生産されました。つまりRX-78を量産しないことで、これらのパーツが宙に浮いたわけです。この使われなかったパーツを使用し、宇宙用装備を取り外して再設計したものが陸戦型ガンダムでした。

 どうして地上用に特化させたのでしょうか。それは開発された時期を考えれば容易に想像ができます。つまりその頃は、地上にいるジオン軍を掃討することが急務だったのでしょう。こうして量産された陸戦型ガンダムは、しかしその数はそれほど多くありませんでした。

 そして前述の理由から、予備パーツが極端に少ないというネックがあったのです。そのため、頭部を失ったがために「RGM-79[G] 陸戦型ジム」の頭部を代わりに据えたこともありました。また修理するにも純正のパーツが足りなくて、「RX-79[G]Ez-8 ガンダムEz8」のようなカスタム機になったこともあります。

 こうしてガンダムの量産化は早くも一年戦争中にスタートし、その後も困難な高性能機を量産しようという動きはたびたび見られました。

【画像】「えっ…ガンダム?」こちらが量産型ガンダムの系譜にあるといえるMSです(8枚)

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