東映の危機を救った『宇宙刑事ギャバン』 教えてくれた「あきらめないことさ!」
1982年3月5日、『宇宙刑事ギャバン』の放送が始まりました。新たに誕生した全身銀色に輝くヒーローの姿と華麗なアクションの数々に、当時の少年たちは熱狂。38年が経過した今も色あせることがない、ギャバンの魅力について語ります。
人生の教えに満ちた『宇宙刑事ギャバン』のオープニング
1982年3月5日、『宇宙刑事ギャバン』(以下、ギャバン)の放送が始まりました。新たに誕生した全身が銀色に輝くヒーローの姿は、当時の少年たちの目をくぎ付けにしました。38年が経過した今も、串田アキラ氏が歌うオープニングテーマ『宇宙刑事ギャバン』に力をもらっているライターの早川清一朗さんがギャバンの魅力について語ります。
* * *
「蒸着!」
主人公、一条寺烈役を務めた大葉健二氏の力強い掛け声は、今も脳裏に焼き付いています。
『宇宙刑事ギャバン』の放送が始まると、すぐに筆者をはじめとした子供たちはギャバンごっこをするようになりました。「とぉう!」と叫んで飛び込みながらのギャバンパンチやアルミホイルの芯をレーザーブレードに見立ててのギャバンダイナミック、サイバリアンに乗るときの超カッコイイ前傾姿勢や蒸着のプロセスまで、ありとあらゆる真似をしていた記憶があります。それほどギャバンの存在は衝撃的であり、魅力にあふれていたのです。
ギャバンの魅力は外見やアクションだけではありません。串田アキラ氏が歌うオープニング『宇宙刑事ギャバン』は、渡辺宙明氏が作り上げた曲だけではなく、山川啓介氏が書き上げた詩の内容も、子供をひとりの人間として考えている、本気の内容でした。
「男なんだろ? ぐずぐずするなよ 胸のエンジンに 火をつけろ」
「若さ 若さってなんだ 振り向かないことさ」
「愛ってなんだ ためらわないことさ」
残念ながら今の筆者にすでに若さはありませんが、それでもこれらの歌詞は、困難にぶつかりくじけそうになったとき、筆者を支え続けてくれています。
また二番の歌詞は放送から大分経ってから知ったのですが、「悪い奴らは 天使の顔して 心で爪を研いでるものさ」 という部分があります。人生ではこういう人間に遭遇することもしょっちゅうです。『ギャバン』そして山川氏は、子供たちに向けて、大人になるための心構えを教えてくれたのかもしれません。