『ヒロアカ』堂々完結! 最終章で明かされたヴィランの壮絶な過去に「驚き」と「悲しみ」
少年の成長を描く王道展開を丁寧に描ききった『僕のヒーローアカデミア』が2024年8月5日発売の「週刊少年ジャンプ」で10年の連載に幕を閉じます。読者を驚かせた驚きの展開について振り返りましょう。
ヒーローの責務と悪の根源を描く王道の少年マンガ、ついに完結

「週刊少年ジャンプ」にて10年間にわたって連載されてきた『僕のヒーローアカデミア』が、2024年8月5日発売の「週刊少年ジャンプ」36・37合併号でついに最終回を迎えます。この記事ではこれまでを振り返り、読者を驚かせた伏線展開について紹介します。
※この記事には『僕のヒーローアカデミア』の内容を含みます。ネタバレにご注意ください。
●光が強ければ影もまた濃い
『僕のヒーローアカデミア』は主人公の「デク」こと「緑谷出久(みどりや いずく)」を中心に描かれた王道の成長物語です。特殊能力「個性」を持たずに生まれてきた無能力者ながらもヒーローに憧れ強い心を持つデクは、偉大なヒーローの力を受け継ぎ、心身ともに力にふさわしい存在になろうと奮闘します。そのひたむきな姿勢には多くの読者が胸を熱くしたことでしょう。
その一方で『僕のヒーローアカデミア』のアイコンであり、物語全体を貫く重要人物といえば「オールマイト」だといえるでしょう。金髪マッチョで明るく気高いオールマイトは、アメコミ(アメリカン・コミック)のヒーロー像を具現化したような存在で、多くの人から信頼され頼られる存在として登場しました。デクの憧れのヒーローでもあります。
ところが完全無欠のヒーローのオールマイトの能力が最悪のヴィランである「AFO(オール・フォー・ワン)」に由来することが判明します。OFAには無個性者の弟がいました。OFAは弟を仲間に引き込むため「力をストックする個性」を与えます。
ところが弟は「個性を与える個性」を持っていたのです。無個性だと思われていたのは本人が与える個性を持っていなかったからだったのでしょう。こうして「AFO」の弟は個性をストックし、継承する個性「OFA(ワン・フォー・オール)」を持つことになります。オールマイトはこの力の8代目の継承者であり、デクは9代目にあたります。代を重ねる事に強くなっていくOFAの力は最高のヒーローの力であり、最悪のヴィランの力にでもあったのです。
そして最後にデクが一騎打ちする「死柄木弔(しがらき とむら)」もまた、オールマイトと関係がつながる人物でした。彼の本名は「志村転弧(てんこ)」で、なんと彼の祖母である「志村菜奈」は7代目の「OFA」継承者であり、オールマイトの師匠だったのです。菜奈は夫を何者かに殺害されたことから、息子である「弧太郎」の身を案じて里子に出し、ヒーローの世界から遠ざけていました。
しかし戦いから遠ざけていたはずの弧太郎の子供である転弧(菜奈の孫)は、崩壊の能力に目覚めて家族を殺め、ついには「AFO(オール・フォー・ワン)」に取り込まれてヴィラン「死柄木弔」として世界を破壊する巨悪へと成長してしまいました。
本作では光と闇が対立しながらも、本質的に極めて近い存在であることが繰り返し描かれています。死柄木がオールマイトの師の孫という事実は読者に大きなショックを与えました。