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漫画『ファミコンロッキー』に少年は…『スパルタンX』のウソ技を真に受け続けた結果

1985年に発売されたファミコン版『イー・アル・カンフー』と『スパルタンX』は、少年たちの情報源であった「コロコロコミック」での特集やマンガ『ファミコンロッキー』(作:あさいもとゆき)への登場により、注目を浴びました。

『スパルタンX』のウソ技を真に受け続けた少年

ファミコン用ソフト『スパルタンX』(任天堂)
ファミコン用ソフト『スパルタンX』(任天堂)

 1985年に発売されたファミコン版『イー・アル・カンフー』と『スパルタンX』はマンガ雑誌「コロコロコミック」での特集やマンガ『ファミコンロッキー』(著:あさいもとゆき)への登場により、少年たちの注目を浴びました。『スパルタンX』を24周しようとしてあえなく挫折したライターの早川清一朗さんが当時の記憶を語ります。

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 1980年代半ばのファミコン少年たちがゲームの情報を仕入れるために頼りにしていたのが、小学館の「コロコロコミック」でした。巻頭では写真付きでたくさんの新作ゲームが特集されており、ファミコン少年である轟勇気が主人公のマンガ『ファミコンロッキー』も熱狂的な人気を集めていたのです。

『ファミコンロッキー』では毎回ファミコンのゲームを使用した白熱したバトルが繰り広げられ、最後は追い詰められた勇気が一発逆転の隠し要素を見つけ出して勝利するという展開がたびたび見られました。これはこれでとても楽しませてもらえたのですが、この時代、少年たちは他にファミコンの情報源をほとんど持っていませんでした。

 結果として、マンガの内容を真に受けてしまったファミコン少年が大量に誕生してしまうのです。もちろん筆者もそのうちのひとりでした。

 まず筆者が目指そうとしたのが、『スパルタンX』の24周クリアでした。『スパルタンX』は主人公の「トーマス」がさらわれた恋人「シルビア」を救うために全5階の建物に乗り込み、各階層で待ち受ける無数のザコ敵とボスを倒していくゲームです。5階のボスを倒すと一応エンディングを迎え、そのまま難易度があがった2周目へと突入します。『ファミコンロッキー』では24周すると実は敵だった「シルビア」が襲いかかってくるストーリーだったため、何度もチャレンジしたのですが、たいていは3周目か4周目でゲームオーバーになってしまい、24周まで到達した『ファミコンロッキー』への憧れはさらに強くなりました。

 マンガの内容がウソだったのを知ったのは、ずいぶん後のことでした。

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