MS「ドム」の「左胸にあるアレ」ってなに? 謎の装備について
『機動戦士ガンダム』の「ドム」といえば、ガンダムファンなら誰でも知っている有名MS(モビルスーツ)ですが、ひとつだけ謎の武器があります。TVアニメと劇場版を振り返ります。
なかったことにされた内蔵ビーム砲

『機動戦士ガンダム』に登場する重モビルスーツ(MS)「ドム」は、エースパイロット「黒い三連星(ガイア、マッシュ、オルテガ)」による「ジェットストリームアタック」のインパクトが強烈でした。その機体について、ひとつ腑に落ちない点があります。ドムの「左胸のアレ」は何だったのでしょうか。
●ただの目くらまし、それともビーム砲?
ジオン軍のMS、ドムが初めて登場したのは、TVアニメ『機動戦士ガンダム』第24話です。特徴的な十字のモノアイレールの頭部に、袴をつけた武士のような重厚なフォルムは今でも全く古びておらず、その後、何度もプラモデルがリリースされ、多くの派生型MSが生まれました。
そのドムのメイン武器といえば宇宙戦艦をも撃沈する威力を誇る「ジャイアント・バズ」と、細くて長い竹刀のような「ヒートサーベル」です。しかしひとつ忘れてはならない武器があります。それが左胸にマウントされた謎の兵器です。プラモデルに付属する説明書などによると、正式名称を「拡散ビーム砲」といいます。
この装備がはじめて使用されたのは、TVアニメ24話「迫撃!トリプル・ドム」のエピソードで、黒い三連星が2度目のジェットストリームアタックを「ガンダム」に仕掛けるシーンです。この時、ガイアのドムの左胸から放たれた光は「ガンダム」を傷つけることはなく、一連の攻撃につなげるための目くらましとして使われていました。あれがビームかといわれると少し違和感があります。
しかし続く第25話「オデッサの激戦」では、ドムの拡散ビーム砲の描写が大きく変化しました。ビーム砲の名の通り、ビームライフルのように指向性のあるビーム兵器として描かれていたからです。
そして、TVアニメ放送後の映画『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』におけるドムの拡散ビーム砲は、第24話に準拠した目くらまし的な兵器として描かれました。これはいったいどういうことなのでしょうか。