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スクウェアの格闘ゲーム『ブシドーブレード』 コンビニでゲーム機本体が買えた時代

走って相手のスキを突く、他の格闘ゲームにはない緊張感

『レジェンダリーヒッツ ブシドーブレード弐』(スクウェア・エニックス)
『レジェンダリーヒッツ ブシドーブレード弐』(スクウェア・エニックス)

『ブシドーブレード』の特徴は、なんといってもキャラクターが武器を持っており、急所に当てると一撃で相手を仕留められることでした。対戦格闘ゲームで刀というと『サムライスピリッツ』が有名ですが、高い破壊力を持つことで有名な覇王丸の立ち大斬りでも100%一撃必殺とはいきません。必殺技でも何でもない斬撃が一発決まればそこで終了。この緊張感は、他の格闘ゲームにはないものでした。

 また、武器の持ち替えができるのも『ブシドーブレード』の大きな特徴でした。とはいえキャラクターごとに得意な武器は決まっており、不得手な武器を持たせるとろくに技を出せないどころか、ひどい場合には転んでしまうこともあったので、好きな武器を自由に使うというわけにはいかず、結局は得意とする武器を使わせていたような記憶があります。

 購入してから数日後、当時一緒に格闘ゲームをやっていた友人たちのたまり場に『ブシドーブレード』を持ち込み、みんなでワイワイ騒ぎながらプレイすることになりました。最初こそ技はどうだ、サブウェポンはどうだ、目つぶしの使いどころは? などいろいろ細かい要素を詰めながらプレイしていたのですが、じきに皆がある戦術の強さに気付いてしまいました。

 走って斬る。

『ブシドーブレード』は3Dマップを自由に走り回ることができるゲームです。少なくとも筆者の周囲のレベルでは、互いの武器の間合いを図りながら駆け引きを行い一撃を加える機会を狙うより、走り回ってかく乱し、防御のタイミングを崩して斬った方が楽に勝てたのです。

 当然のごとく皆が同じ戦術を使うようになり、ひたすら走り回るプレイスタイルが確立しました。 果たしてこのプレイスタイルが正しかったのかは、今となっても分かりません。おそらく開発者が意図していたものとは違う遊び方だったとは思いますが、これはこれでまるで本物の時代劇、特に『木枯し紋次郎』のような殺陣を再現できてなかなかに楽しめました。

 1998年には続編となる『ブシドーブレード弐』が発売されますが、その後系譜は途絶えてしまします。しかしながら2017年、ポーランドのDojo Gamesが『ブシドーブレード』の影響を受けて製作したと公言する『斬!斬!斬!』が、プレイステーション4で発売されています。

 20年の時を越えてなお、『ブシドーブレード』の魂はゲームの世界に息づいているのです。

(早川清一朗)

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