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素晴らしき「違法脱法ガンダム」の世界 「条約なぞクソ喰らえ!」で作られたチート機

違法技術を上手く使った方が勝ち! 仁義なき「鉄血のオルフェンズ」世界

禁止された技術「阿頼耶識システム」により操縦される主役機ガンダムバルバトスは、やはり禁止技術の「ダインスレイヴ」により敗北。「HG 1/144 ガンダムバルバトス」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
禁止された技術「阿頼耶識システム」により操縦される主役機ガンダムバルバトスは、やはり禁止技術の「ダインスレイヴ」により敗北。「HG 1/144 ガンダムバルバトス」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』世界で禁忌とされている技術はふたつあり、ひとつは「阿頼耶識(あらやしき)システム」です。ザックリいえばパイロットの神経とMSなどのシステムを結びつけ、直感的に空間を把握したり機体の操縦ができたりする技術であり、たとえば「殴りたい!」と思えば、敵に照準を合わせてレバーを入れてボタンを押して……という手順をすっ飛ばしてすぐに殴れます。

 パイロットを訓練する必要もなく、素人でもMSに乗せて即戦力にできる便利さですが、過酷な手術が必要で、背中に突起ができるため仰向けに寝られなくなったり、大量の情報が脳に流れ込むことで身体に障害が生じたり、廃人化あるいは死亡したりします。「一般人を便利な捨て駒にできる」という意味でも非人道的すぎるため、開発した軍事組織「ギャラルホルン」が自ら禁止しました。

 それを主人公の「三日月」は使いこなして「ガンダム・バルバトス」と人機一体となり大活躍し、リミッターを外して強化した結果、右半身不随となりました。ギャラルホルン、正しかったんですね。

 もうひとつの禁忌は、針金のように細くて頑丈な特殊弾頭をレールガンで撃ち出す兵器「ダインスレイヴ」です。MSのフレームと同じ「レアアロイ」(合金)を使っており、MSの装甲も貫通する凄まじい威力を秘めています。が、詰まるところ「メチャメチャ速くて頑丈な弓矢」に過ぎません。

 なぜこんなものが猛威を振るうかといえば、この世界のMSは「ナノラミネートアーマー」で覆われてビーム兵器が効かないため、パイロットたちは射撃武器について「喰らっても大丈夫」という認識、習慣が身に染みついており、そこにつけ込むという、一周回ったチート兵器だからです。

 このダインスレイヴ、主人公側のMSである「ガンダム・フラウロス」も使えます。が、「レアアロイ製の弾頭を使っていないのでセーフ」という解釈のもとで運用されています。まさに「脱法ガンダム」ですね。

 そもそも本筋のストーリーも「ダインスレイブは禁止兵器」を軸のひとつとしていて、主人公たちと協力した組織「タービンズ」も荷物に紛れ込ませられ、その討伐のためにギャラルホルンの「イオク・クジャン」がこれを使って大戦果を挙げていました。ガンダム世界では「違法だと非難した側が違法武器を使う」パターンが多いですね。

 最終的には敵MS相手に激戦を繰り広げていた三日月たちも、大量に撃ち込まれたため避けきれずに致命傷を負わされました。無敵の力を持ったガンダムをも物量でねじ伏せてしまったことで、「戦いは数だよ兄貴!」は証明されたようです。

※本文の一部を修正しました。(2024年8月22日 11時42分)

(多根清史)

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