PS3発売後、PS2を再び稼働させた『アマガミ』 強烈なヒロイン上崎裡沙の魅力
数年越しの恋心を秘めた上崎裡沙の魅力

本作の攻略可能ヒロインは、パッケージに描かれている主人公のクラスメイト「絢辻詞(あやつじ・つかさ/CV:名塚佳織)」を含めて計6人。彼女たちは同級生から後輩、先輩にいたるまで色とりどりの魅力であふれています。ところが周回プレイを経てメインヒロイン全員を攻略した後、強烈なインパクトを放つスニーキングヒロイン「上崎裡沙(かみざき・りさ/CV:門脇舞以)」が現れました。
眉の少し下で前髪をそろえた栗色のロングヘアー。ベージュのVネックニット。足元は白のハイソックスに茶色のローファーと、一見大人しそうに見える彼女ですが、実は一癖も二癖もある強者。主人公の生活範囲や趣味を把握しているのはもちろん、メインヒロインと主人公が仲良くならないよう秘密裏に工作するなど、思い込みが激しく、それでいて驚くほどの行動力を秘めたヒロインです。
とはいえ、その一挙一足は小学生の頃から抱き続けた主人公への恋心によるもの。初登場時から主人公の影を追い続け、時には恋路を阻むヒロインと対峙し、また時には妨害工作をあっさり見抜かれて落ち込む……やや情緒不安定なシーンも見受けられますが、実は主人公の過去と密接に関わっていることが判明します。ルート終盤、彼女は主人公がトラウマを抱える原因となったクリスマスの出来事について経緯を語り、同時に5年以上も続く片思いの心中を空き教室で吐露しました。
中学時代の女子生徒へ怒りを燃やし、かと思えばこれまでの行いに罪悪感を意識し、自身を受け入れてくれた主人公に対して笑顔を見せる。そんな彼女の表情を見るうち、いつしか筆者は上崎裡沙に心を奪われていたのです。最初こそ警戒気味に接していましたが、主人公と肩を並べて大学へ通うラストシーンを眺めた際、「良かった……」と行く末を安堵した後、自然と感情がこみ上げてきました。
PS2版ソフトを皮切りに、コミックスやラジオ番組、2度のTVアニメ化など、さまざまな媒体で展開されてきた『アマガミ』。誕生から10年以上経ちますが、今後も上崎裡沙との出会いを忘れることはなさそうです。
(龍田優貴)