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「これなら完結させられる」と実感! 連載再開から2年『ベルセルク』監修・森恒二先生インタビュー【前編】

マンガ界最強! 複雑すぎる甲冑「狂戦士の鎧」

「狂戦士の鎧」を身にまとい剣を振るうガッツ。『ベルセルク』42巻より
「狂戦士の鎧」を身にまとい剣を振るうガッツ。『ベルセルク』42巻より

――やはり、監修の面でもガッツに関しては難航することが多いのでしょうか。

森 ガッツの作画の苦労は、顔だけじゃないんです。特に、ガッツが着ている「狂戦士の鎧」の形状が、「わざとか」と思うくらい描きにくいんです。肩の部分が六角形になっていて、六角形の形の装甲が蛇腹状に重なっており、さらにアール(湾曲)を描いた複雑な形状で留まっています。

 私も何度か描いてみましたが、プロの漫画家でも難しいくらいです。あんな複雑な甲冑を自在に動かしていたなんて、狂気の沙汰としか思えないです(笑)。「狂戦士の鎧」は、日本でいちばん複雑な形をした甲冑だと思います。

 黒崎君は甲冑を動かせる画力を持っているので、私の方からアドバイスできることは少ないですが、「三浦君はこんなことに気を付けていた」「ガッツはこんな時にこういう表情はしない」といったことを伝えています。

――現在、黒崎先生ほかスタジオ我画のスタッフはどのような体制で作業をされているのでしょうか。

森 スタッフの割り振りでは、ベテランさんが背景を描いて、チーフの黒崎君がキャラクターをほぼ担当、若いスタッフがサブとして一部キャラクターを手伝っているという状態ですね。

 その若いスタッフは、42巻のカラーイラストもやっています。彼はまだ20代です。本当にすごい才能が結集していますね。ここまでの人材がそろっていなかったら、『ベルセルク』を引き継ぐのは無理だったと思います。

 三浦君の弟子たちの鍛え方もすごいと思いますし、なによりみんな『ベルセルク』が大好きで「未完で終わらせちゃいけない」と考えていることが大きいと思います。「やるしかない」と決断した時はみんなで泣きましたね。

――森先生とスタジオ我画の皆さんも、『ベルセルク』のガッツたちのような苦難の旅を続けているように感じます。

 本当に大変ですが、やりがいはとてもあります。そして、黒崎君はこの『ベルセルク』を描き終えたときに、ファンタジー作品の描き手としてNo.1の称号を得ると思いますよ。三浦君のもとで彼が積み重ねてきた研鑽(けんさん)は、本当にすごいと思います。

――森先生が特に「ここをちゃんと描けて良かった」と、手ごたえを感じられた場面やエピソードはありますでしょうか。

森 連載再開後の「妖精島」が崩壊するシーンをしっかり描けたのが自信になりました。かつて三浦君から話を聞いていたように描けたと感じています。いろんなことが同時進行で起きる場面で、ネームを描くにも難しいシーンだったのですが、ガッツがグリフィスに敗北して心を折られるところがしっかり描けたので、「これなら完結までいけそうだ』と思いましたね。

【画像】え…っ?10代からずっとこんな面白い打ち合わせを? こちらが「三浦先生と森先生の寸劇」を描いた『ベルセルク』42巻おまけマンガです(4枚)

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