非リアオタクだったよね? 思わぬキャストで「美形化」した原作キャラたち
最近の実写化作品はレベルが高いものばかりで、3次元の俳優が2次元キャラを見事に再現してくれることが増えています。ですが演技力は高くても、やはり芸能人が演じていることで「このキャラってこんなに顔が良かったっけ……?」と疑問に思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
どれだけダサい恰好をしても隠しきれないオーラ
マンガ作品が実写化される際、俳優、タレントが演じることで作中のキャラクターが「美形化」するという現象がたびたび起きます。たとえば有名なのが、Netflixの実写ドラマ『幽☆遊☆白書』に登場する「桑原和真」です。原作では強面な不良で「つぶれた顔」とまで言われる立ち位置だった桑原を、イケメン俳優の上杉柊平さんが演じて話題を集めました。
ほかにもさまざまな実写化作品で、「美形化キャラ」が生み出されています。
●『3D彼女 リアルガール』筒井光(演:佐野勇斗)
那波マオ先生の同名マンガを実写化した映画『3D彼女 リアルガール』は、いわゆるリア充女子と非リア充男子のラブコメ作品です。主人公の「筒井光(通称:つっつん)」はアニメやゲームが大好きな高校3年生であり、いじめられっ子でもありました。
ところが実写版で筒井を演じたのは、過去に「NEXT国宝級イケメン」1位に選ばれたこともある俳優の「佐野勇斗」さんです。劇中では見事に挙動不審なオタクを演じきっていますが、ところどころイケメンオーラが漏れていました。さらに佐野さんは身長が179cmあるため、どれだけうつむきがちであってもスタイルの良さを隠しきれていません。
原作の筒井も主人公らしく整った顔はしていますが、実写版になるといじめられっ子というにはあまりにもイケメンすぎることが際立っため、ネット上では「いじめっ子たちの度胸を褒めたくなる」といった感想が見受けられるほどです。
ちなみに佐野さんはこの作品以降、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』の石上優や『トリリオンゲーム』の平学など、マンガの実写化作品でオタク役を演じる機会が増えています。ある意味『3D彼女 リアルガール』は、俳優としての分岐点だったのかもしれません。
●『海月姫』倉下月海(演:のん)
オタクキャラの美形化でいえば、2014年に実写化された映画『海月姫』も負けていません。同作は『東京タラレバ娘』などで知られる東村アキコ先生の人気マンガが原作で、主人公の「倉下月海」は「非モテ」街道を突き進み、男性というだけで拒絶反応が出てしまうほどの筋金入りのオタク少女でした。
原作での見た目はぼさぼさ眉毛に雑な三つ編み、野暮ったい眼鏡という組み合わせで、あまり身なりに気を遣っておらず、メイクをする習慣もないほどです。しかしそんな月海役を実写版で演じたのは、透明感あふれるオーラでおなじみの女優「のん(当時は能年玲奈名義)」さんでした。ほぼすっぴんにスウェットを着用し、見事なオタク姿を披露していたものの、やはりのんさん特有の、華やかさやかわいらしさをまとっています。
ただ、内気でありながら芯があるという役どころは、ぴったりとハマっていた印象です。ネット上でも「のんちゃんの素の持ち味が月海役に生かされていた」「そこはかとないオドオド感と、好きなものスイッチが入った時のマシンガントークっぷりがハンパない」「本当にはまり役!」と、好評を博していました。
●『咲-Saki-』染谷まこ(演:山田杏奈)
小林立先生による人気麻雀マンガ『咲-Saki-』も、とあるキャラクターのイメージが実写化によって激変していました。同作の実写版は今振り返ると、浜辺美波さんや浅川梨奈さん、あのちゃんなど、今をときめく豪華キャストたちが出演しています。なかでも目を引くのは、映画『ゴールデンカムイ』のヒロイン「アシリパ」役などで知られる山田杏奈さんの出演でしょう。
山田さんが演じていたのは、主人公の先輩にあたる「染谷まこ」です。こてこての広島弁を話し、もじゃもじゃした緑色の髪にメガネという見た目で、正統派の美少女たちが揃う清澄高校麻雀部のなかでは随一のアクの強さを誇るキャラクターです。ちなみに原作ファンの間では、「わかめ」などと呼ばれて愛されています。
実写では山田さんがこのワカメヘアをきっちりと再現し、セリフもすべて広島弁で話していましたが、あふれ出る正統派美少女のオーラはやはり格別でした。「仕事じゃけ」「負けてもええけえ」などと広島弁で話す姿に、多くの人がメロメロになったようです。
とはいえ原作のまこも「メガネを外すと美少女」と言われることがあるため、ある意味そのポテンシャルを忠実に再現していたのかもしれません。
原作キャラの美形化は、豪華な役者たちがそろう実写化作品ならではの醍醐味とも言えます。原作とのギャップを楽しむのもまた一興、ではないでしょうか。
(ハララ書房)