美少女アニメなのに…「エロ」「かわいい」以外でおじさんが興奮した作品3選【第二次世界大戦】
幼女×エリートサラリーマンで「異色」の作品に
●幼女戦記
本作は原作小説からコミカライズ、TVアニメ化に続いて映画化を果たしており、現在アニメ2期が準備中の人気作です。「幼女」というタイトルからは想像もつかないようなハードな展開や人間関係の皮肉、大人の笑いが魅力です。
本作では第一次世界大戦から第二次世界大戦頃の架空のヨーロッパを舞台に、主人公の幼女「ターニャ・デグレチェフ」が母国「帝国」を守るために、敵対国家と戦います。実はこのターニャ、前世は日本のエリートサラリーマンでした。彼がこの状況におちいった経緯と作品のメインテーマには深い関わりがあります。
ターニャは前世で冷徹な現実主義者でした。しかし無慈悲に同僚を解雇したせいで逆恨みされ、電車のホームに突き落とされて死んでしまいます。死後、創造主に無信心さをとがめられますが、うかつにも「科学文明に恵まれた世に生まれ、世界でも稀に見る道徳心を備えた国に育ち、生物学的にも社会的にも優位なサラリーマンなので、神にすがる理由がない」と、文字通り神をも恐れぬ発言をしてしまいます。
こうして自身の行いを恥じなかった「彼」は創造主を怒らせてしまい「非科学的な世界で女に生まれ、戦争を知り、追い詰められる」ことで信仰に目覚めるよう強制されたのです。
孤児のターニャとして生まれ変わった「彼」は、生まれ持った魔力の才能を活かせる「航空魔導師士官」となって戦争に参加、その才能が認められ「第二〇三航空魔導大隊」大隊長として活動します。上司や現場環境に翻弄され、部下との人間関係に頭を悩ませる中間管理職の会社員には刺さる描写が多いでしょう。かわいいだけ、アニメーションがすごいだけでは終わらない作品です。
●実は「ガンダム」が大成功したメソッド
これらの作品にはミリタリーと美少女だけでなく、魔法の要素が共通しています。おそらく実在の戦争を下敷きにした作品を描く際、ファンタジーや美少女がないと、作品がシリアスになりすぎてしまうせいでしょう。現実をデフォルメして「テーマ」を強調するメソッド(手法)はアニメというメディアが得意とする演出です。
「美少女×ミリタリー」アニメには、戦車かっこいい、女の子がかわいい、という間口の広さで視聴者を集め、徐々にシリアスな展開を描くことで、最終的に史実に興味持たせるほどのパワーがあります。
これは「ガンダム」などの大ヒット作品にも共通しています。荒唐無稽な表層の裏にリアリティがあるからこそ、これらの作品は人を惹きつけるのでしょう。
(レトロ@長谷部 耕平)