イメージ違いすぎ 『転スラ』リムルは原作小説では性格がキツかった?
アニメ『転生したらスライムだった件』の魅力といえば、やはり主人公リムルの活躍ぶりでしょう。最強の力を持ちながらも情に厚い性格で知られ、その天真爛漫さに惹かれたというファンも少なくありません。しかし原作のリムルは、今とは少し異なるキャラクター像で描かれていました。
今では想像がつかないリムルのキャラクター像
『転生したらスライムだった件』(以降:転スラ)は、TVアニメの第3期が放送中、コミカライズやスピンオフ作品も人気を博ています。数ある「異世界転生モノ」のなかでも、トップクラスの人気を誇っている作品です。
もともとは「小説家になろう」で連載されていたということもあり、WEB版、書籍版、コミカライズ、アニメと、それぞれの違いもファンにとっては話題のひとつとなっています。
なかでも語り草となっているのが、主人公「リムル」のキャラクター像です。コミック版でのリムルはお人好しで他人に頼られると断れない、優しい性格の持ち主なのですが、原作では「ゲスい」一面も要所要所で見え隠れしていました。特に序盤では、陰険な性格が目立っていた印象です。
転生直前のリムル、もとい「三上悟」は後輩の「田村」から呼び出され、待ち合わせ場所で会社のマドンナと名高い「沢渡さん」を紹介されました。ここで悟は、彼女へのあいさつついでに「沢渡さんは有名だから知ってますよ」「まあ、いろいろウワサがね……」と意味深な発言を繰り出します。
アニメでは、すかさず田村が「からかわれてるだけだって」とフォローするのですが、原作だと悟が「○○部長と浮気してるとか、△△君とデートしてたとかね」とウワサの部分を深掘りし、セクハラまがいの冗談をぶつけます。
悟も心のなかで「俺、性格悪いな」とつぶやいているのですが、こういった描写はアニメやコミカライズではカットされていました。「異世界転生モノ」の作品では、主人公が陰湿な性格をしているケースも珍しくありません。意外と『転スラ』も、「異世界転生モノあるある」をしっかりと取り入れた作品だったようですね。
リムルがドワーフの国へ赴いた際も、「ゴブタ」の扱いに性格の悪さがにじみ出ていました。リムルはのんきなゴブタをひんぱんに「バカ」呼ばわりしており、夜の店に向かう時には「ちょ! これ酷いっす! 自分も連れてって欲しいっす!!」という訴えを却下すると同時に、「おしおき」と称して粘糸を用いた「蓑虫地獄」の刑に処しています。
コミカライズでもゴブタは同じようにグルグル巻きにされて放置されているものの、子供だから夜の店には連れていけないといった理由に変更されていました。
ちなみに原作者の伏瀬先生いわく、WEB版や書籍版のリムルは「性格が序盤はちょっとキツイところがある」とのことです。つまりコミカライズやアニメのリムルは、意図的にマイルドなキャラクター像へ変更されているのでした。
細かい部分ではあるものの、リムルを広く受け入れられやすい性格にブラッシュアップした結果、多くのファンを惹きつけたのかもしれません。とはいえ、毒っぽいリムルもそれはそれで魅力的なので、興味のある人はチェックしてみてはいかがでしょうか。
(ハララ書房)