「この実写化はずるいって」 普通ムリなキャラを再現しちゃった名優たち
大河ドラマの主演や、数々の人気作でシブいバイプレイヤーとして活躍している俳優は、マンガの実写化作品で驚きの姿を見せているケースもあります。役作りや、登場した瞬間の衝撃のビジュアルが話題になったキャラを振り返ります。
意外と猫が似合う激シブバイプレイヤー
マンガの実写化では、比較的再現しやすい現実的な内容の作品だけでなく、コメディ、ファンタジー色の強い作品も映像化されています。そういった作品では、人気俳優がとんでもないビジュアル、設定のキャラを演じているのも見どころです。
●『斉木楠雄のΨ難』の吉沢亮
これまで出演した実写化作品では、『銀魂』の沖田総悟や『東京リベンジャーズ』の「佐野万次郎(マイキー)」、『キングダム』シリーズの「エイ政」など、クールなキャラクターが多い吉沢亮さんは、2017年に出演した『斉木楠雄のΨ難』で、いわゆる「中二病」キャラの「海藤瞬」を演じています。
海藤は高校デビューしようと一念発起するも、模索した結果、人類淘汰をもくろむ悪の秘密結社「ダークリユニオン」と戦い続ける「漆黒の翼」としての使命を背負う、かなりこじらせた人物です。根は純粋で優しいものの、イタい発言や言動が多く、周囲から浮き気味で、主人公「斉木(演:山崎賢人)」を同類だと思って付きまとっています。
実写映画でも海藤の中二病ぶりは相変わらずで、吉沢さんはオーバーな動きとともにコードネームを明かす場面や、彼の運動神経の悪さが分かる疾走シーンなどを熱演しました。「こんなに濃いキャラなのに違和感がないのがすごい」「声までアニメに寄せてきてる」「ドッヂボールのシーン、画面後ろでボヤケてるのに投げ方完璧」と、多くのファンを驚かせています。
●『きょうの猫村さん』松重豊
重厚な演技力から幅広い役柄を経験し、バイプレイヤーとしてさまざまな作品で圧倒的な存在感を見せる俳優、松重豊さんは2012年に連続テレビドラマ初出演となった『孤独のグルメ』での「井之頭五郎」役をイメージする方も多いかもしれません。仕事を終えた後、空腹を満たすべく飲食店を探して食事をし、立ち去るというシンプルなストーリーながら、淡々とおいしそうな料理を食べる五郎の様子が人気を博し、松重さんの知名度を大きく上げることとなっています。
そんな松重さんは、マンガ原作ドラマ『今日の猫村さん』でまさかの「猫」役を演じていました。
ほしよりこ先生原作の同作は、猫ながら家事をこなし、人間の言葉を話す「猫村ねこ」が、生き別れとなった「ぼっちゃん」との再会を夢見て、家政婦として働くストーリーです。松重さんはドラマでなんと猫の被り物を身につけ、猫村を演じています。渋くて強面のイメージもある松重さんが、ほんわかした猫村さんを演じるギャップは原作ファンを中心に衝撃を与えました。
フラストレーションが溜まると爪研ぎをしたり、ライバル的な存在の怖がりの奥さん(演:安藤サクラ)を威嚇したりと、猫ならではの行動に出る松重さんは、「実写化は無理だろうと思ったけどこう来るとは思わなくて爆笑した」「完全再現は無理な以上、この手法はうまいと思う」「188cmのコワモテ松重さんが演じる猫村さん、意外にありだった」と、なかなか好評を得ています。
●『俺物語!!』の鈴木亮平
2018年の大河ドラマ『西郷どん』の西郷隆盛役で体重の増減までしっかり再現した鈴木亮平さんは、ストイック過ぎる肉体改造や原作へのリスペクトが感じられる役作りゆえに、実写化作品への出演に信頼と実績を獲得しています。
鈴木さんは2024年に配信されたNetflix版実写映画『シティーハンター』でも、凄腕のスイーパー(始末屋)かつ無類の女好きという主人公「冴羽リョウ」を演じ、国内外で「こんなに完璧なリョウが観られると思わなかった」「原作ファンだけどこれは納得せざるを得ない」「もう鈴木亮平が冴羽リョウのモデルだったのかもしれない」などと高い評価を集めていました。
その鈴木さんが演じた実写化作品のキャラクターは、クールなものばかりではなく、たとえば2013年の『HK 変態仮面』で演じた主人公「色丞狂介」のバキバキの肉体とプリッとしたお尻の再現度は大きな話題を呼んでいます。また、役のために増量した例では、『俺物語!!』(原作:河原和音/作画:アルコ)の主人公である巨漢の男子高校生「剛田猛男」役も衝撃でした。
猛男は身長推定2m、体重推定120kg、いかつい風貌という全く高校生に見えない、いかにも「マンガ的なキャラクター」だったため、実写化が発表された際も「できる人が思いつかない」と疑問視する声も少なくありませんでした。そんな猛男を演じるにあたり、公開当時32歳の鈴木さんは自らトレーニングプランを組み、約30kg増量して撮影に挑んでいます。
作中では溺れている子供を助けるために川に飛び込むシーンや、ヒロイン「大和」を助けようとお化け屋敷の壁を体当たりで破壊するシーンなど、常人離れした猛男の活躍を勇ましく演じており、「のしのし歩く姿も含め完璧だった」「真っ直ぐ過ぎて純情な雰囲気もあってもはや猛男でしかない」と、原作ファンからも絶賛の声が寄せられていました。
※「冴羽リョウ」の「リョウ」は、正しくは「けものへんにうかんむりなしの寮」
※山崎賢人さんの「崎」は、正しくは「たつさき」
(田中泉)