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【漫画】パワハラから逃げない! ブラック企業に耐える社員に「退職代行業」が声をかけ?

電話営業代理店で働いているリコは、上司のパワハラが常態化した職場の異様な雰囲気に嫌気がさしていました。そんなある日、優しかった直属の上司が突然音信不通になり……。漫画家の外本ケンセイさんのマンガ『さよならブラック企業』の第1話がX(旧:Twitter)で公開され、多くの共感が集まっています。

退職することは「逃げ」なのか?

つらい仕事に必死で耐える主人公のリコ(外本ケンセイさん提供)
つらい仕事に必死で耐える主人公のリコ(外本ケンセイさん提供)

 大手不動産会社の電話営業代理店で契約社員として働いているリコは、成績がすべてで上司のパワハラが常態化した職場の異様な雰囲気に嫌気がさしていました。しかしこれまで何事も途中で投げ出してきた自分を変えるべく、「今度は絶対に逃げない」と心に決めます。そんなある日、優しかった直属の上司が突然音信不通になり……。

 漫画家の外本ケンセイさん(@hokaron1101)が「ヤングキング」で連載していた創作マンガ『さよならブラック企業』の第1話がX(旧:Twitter)で公開されました。「退職代行」(退職の手続きを依頼人に代わり行うサービス)を行う法律事務所を舞台として、さまざまなブラック企業の実態と、そこで働く人たちの葛藤がリアルに描かれています。

 読者からは「あるあるすぎる」「めっちゃ刺さる」「うちの会社かと思った」「泣けてきた」「ブラック企業経験者だから分かる」「退職代行使って退職したい」「続きを読みたい」などの声があがり、第1話の投稿には6700件を超える「いいね」が集まっています。

 単行本としては第1部『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』全5巻と、続編の第2部『さよならブラック企業 ~ヒーロー弁護士 如月樹の本懐~』全2巻が発売中です。作者の外本ケンセイさんにお話を聞きました。

ーー「退職代行」をテーマとしてマンガを描こうと思った理由を教えて下さい。

 自分は過去に営業職に就いていたことがありました。その会社は契約が獲れない社員には友人や親族にも営業をかけさせるような苛烈な営業スタイルで、心身ともに崩れていく同僚たちをたくさん見てきました。

 その後漫画家になり、新作の題材を探していた折に、あるテレビ番組の「退職代行」を行う弁護士さんの特集を観ていたところ、いままで自分が想像していた「退職代行」のイメージが、がらりと変わったんです。

 それまで退職代行というものは単に自分では辞めることができない社員が第三者に依頼することを指すくらいににしか思っていたのですが(もちろんそういうケースも多いです)、世の中には辞表を提出しても受理してもらえないような会社や、もし辞めるのであれば給料の支払いを拒んだり、他社への転職を妨害すると脅したり、ひどい場合は損害賠償を迫ったりするような会社があるということを知りました。

 そういう状況に迫られた人びとから依頼を受けた弁護士の方が、退職代行として未払い賃金や退職金や有給消化の交渉を行うなど、まさに闘う姿がありました。

 そこで、自分の会社員時代の経験を活かした法律マンガを描こうと思い、『さよならブラック企業』というマンガが誕生しました。

ーー第1話では、主人公のリコが仕事に悩む様子や、退職代行業を知るきっかけが描かれています。マンガを描くうえでこだわったポイントや心がけたことなどはありますか?

『さよならブラック企業』は法律マンガではありますが、単に知識や制度を知るだけのマンガにはしたくなかったんです。今現在、働きながら苦しんでいる人に共感してもらったり、感情移入して日頃言えないことをマンガの世界で発散したり救われたりしてほしかった。そして「退職代行」や法律・制度のことを知るのはそのマンガとしての土台がないと伝わらないと思っていました。

 主人公のリコは僕自身を投影したキャラクターでもあるので、会社員時代に感じていたことや、かつての上司に今だったらどういうことを伝えたいのかということを考え、自分の内面から出てくる「生の言葉」や「感情」を、リコを通じて表現しようという思いで描きました。

『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』全5巻が発売中(少年画報社)
『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』全5巻が発売中(少年画報社)

ーー第1話にはたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

 やはり多数の読者の方から「自分も同じような経験がある」「うちの会社かと思った」という共感の声が多かった一方で、ある読者の方が引用ポストで「若者よ、人生の選択はひとつじゃない、自分がダメになる前に、『選択』して歩んでほしい」と呼びかけていらっしゃいました。

 これは本当にその通りで、人生は選択の連続、決して一本道ではないということを僕も世の中の人に伝えたいです。視野を広げれば、救ってくれる人がいるかもしれないし、違う道を歩めば人生が好転することもあるかもしれない。僕も漫画家として普段頑張っているので、もちろん自己実現のために何かに耐えたりひとつの道を突き進んだりすることも大事ですが、何より自分の命が一番大事なんです。

 いまの環境にい続けた先に明るい未来が描けないのであれば、生き生きとした暮らしを送るための「選択」は、たとえ退職であっても「戦略的撤退」という言葉があるように決して「逃げ」なんかではありません。自分の価値を下げたり奪ったり搾取したりするような企業や人からは離れること。大切に自分の価値を積み上げていけば自分のことを認めてくれる人が身の回りに増えていくものだと信じています。正に「人生は一本道」でないんです。

ーー単行本『さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」』全5巻が発売中です。2話以降のお話の展開や見どころなどをご紹介いただけますか?

 2話以降は主人公リコが、退職代行を専門に扱う法律事務所に見習いの事務員として働き始めますが、その後「退職勧奨」や「リストラ請負人」などの退職が関連するテーマのお話や、ブラック企業側との裁判なども描いています。リコが先輩の弁護士やさまざまな依頼者と接し、奮闘するなかで、新たな夢である弁護士を目指して成長していくさまを楽しんでいただければと思います。

 そして、続編である第2部『さよならブラック企業~ヒーロー弁護士 如月樹の本懐~』の単行本第2巻が2024年8月26日に発売されたばかりです。こちらは主人公のリコが司法試験に合格し、弁護士になったあとの物語で、リコが「労働専門弁護士」と呼ばれる如月樹弁護士とともにブラック企業に関連する事件やトラブルを解決していくという「労働問題全般」をテーマにした作品になっています。

 労働問題を分かりやすく、エンタメを交えつつ学べるように心がけて描きました。法律監修の弁護士の先生のコラムも収録されているので、ご興味ある方は『さよならブラック企業』第1部と第2部、ともに読んでいただければうれしいです。

●『さよならブラック企業』の第1話全編はこちら

(マグミクス編集部)

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