PS5値上げに「高すぎる」との声もありますがここで過去の「超高額機」を見てみましょう
PS5の値上げに対し、さまざまな声が上がっており、無論、ネガティブな声がほぼ全てを占めます。しかし、これまでの歴代高額ゲーム機と比べると、実はそう高くないかもしれないという、意外な見地が浮上してくるのでした。
強気すぎる価格で初代プレステと真っ向勝負!
2024年9月2日から、PlayStation 5やその関連アクセサリー類がいっせいに値上げされ、ゲーム好きからは悲鳴が上がっています。ディスクドライブ搭載モデルは6万6980円から7万9980円(以下、全て税込価格)へ、非搭載モデルは5万9980円から7万2980円へ値上げとなり、DualSenseコントローラーも1万円を超えてしまいました。
「ゲーム機なのに8万円近く!? それならゲーミングPC買った方がいいんじゃない?」とうろたえる声も聞こえてきます。が、ファミコン発売からこのかた40年あまり、あまた世に送り出されてきたゲーム機のなかには、値上げ後のPS5に迫る、あるいは上回る高価なハードも少なくありません。
なお物価の感覚は、時代によってかなりの隔たりがあります。おもな高額ゲーム機が相次いで登場していた1990年代半ばまでは、今よりも物価は10%ほど低かったということで、現在の基準の価格に換算するなら、それぞれ1割増しぐらいにとらえていただければ幸いです。
まず筆頭に挙げられるのが、「PCエンジンLT」(1991年12月発売)の9万9800円でしょう。おなじみPCエンジンに、当時は高価だったTFTカラー液晶画面を組み合わせ、折りたたみ型の筐体に収めた製品です。
さらにゲームパッドも一体化され、連射機能も付いています。ほかTVチューナーやスピーカーを内蔵し、ヘッドホン端子もついて、CD-ROM^2ユニットとも接続できます。全部載せの豪華な仕様を実現するため、10万円近くまで跳ね上がってしまったようです。
いかにも持ち運べそうなデザインですが、バッテリーを内蔵せず、単体では遊べません。本体サイズもかなり大きく、約650gもの重さもあり、「ゲームボーイ」感覚でのプレイは無理だったでしょう。
それを僅差で追うのが、パイオニアの「レーザーアクティブプレイヤー」(1993年8月発売)です。本体価格は8万9800円ですが、これだけでは「レーザーディスク」を再生できるだけです。ゲームを遊ぶためには、別にPCエンジンパックやメガドライブパック(どちらも3万9000円)を買い足さないといけません。
当時は先進的だったCD-ROMとレーザーディスクを組み合わせて「MEGA-LD」や「LD-ROM^2」という概念を打ち出しましたが、レーザーディスクが短命だったため後が続きませんでした。もっとも、デーモン閣下が心理ゲームをしてくれる『悪魔の審判』や、実写の脱衣麻雀『ドラドラパラダイス』をプレイしたければマストバイです。
そして「ピピンアットマーク」(1996年3月発売)はバンダイ(当時)とアップルが共同開発した夢のハードであり、発売当時の価格は6万4800円です。Mac OSと互換性のあるpipinOSとCD-ROMドライブを搭載し、一部のMac用ソフトやゲームが動きました。
よりハッキリ言えば「コストダウンしたMac」ですが、ちょうど当時はWindows 95全盛期であり、今ほどMacのブランドイメージは高くありませんでした。しかも、初代「PlayStation」や「セガサターン」が売れに売れている頃で、6万円超で勝負した度胸はスゴいといえるでしょう。最終的な出荷台数は4万2000台、在庫は約5万台で、「世界一売れなかったゲーム機」と呼ぶ声もあります。
その2年前、松下電子産業(当時)がゲーム業界に送り込んだのが「3DO REAL」(1994年3月発売)でした。発表時の希望小売価格は7万9800円でしたが、実際には5万4800円で発売されました。さすがに、強気すぎると反省したのかもしれません。
発売直後は勢いが良かったものの、海外ゲームが中心だったためか失速し、同年11月には価格を4万4800円に下げた「3DO REAL II」を投入しましたが、そのまま沈んでいきました。当時は『スーパーストリートファイターII X』を遊べる唯一のハードではあったものの、キラーソフトがあと100本ほど欲しかったところです。